「プロのカタチ!~形態は機能に従う~」森田理香子プロに学ぶ、美しき「機能」⑤(終)
2015年05月20日 category:プロのカタチ!~形態は機能に従う~プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第2シーズンは、森田理香子プロのスイングに着目し、その「美しき機能」に迫る。
シリーズ最終回は、短いアプローチショットに組み込まれた森田プロのスイングの「機能」についてお話ししています。フェースを開くことで、得られるメリットを前編で確認しました。今回はその後編です。(前編はこちら)
◆短いアプローチショットに組み込まれた森田プロのスイングの「機能」(後編)
短いアプローチショット。フェースを開いてスイングしますが、最後は開いたフェースは閉じなければいけません。
そのときに発生するリスク。それは、 ・手打ちになりやすい。 ・手首でこねてしまいやすい。 この2つのリスクを森田理香子プロはどのように克服しているのでしょうか。
後編でこれを解説します。図と連動して理解していきましょう。
図の①で振り下ろされたクラブのフェースはまだ開いています。ここらフェースを閉じる作業が始まります。意識のポイントは2つです。
(1)クラブの軌道でフェースで閉じていく。
図の①→②の課程で、クラブの軌道に注目してください。①では、広く開いていた手と足の間のスペースが徐々に狭くなっています。つまり、クラブ軌道がアウトサイドインの軌道を描いていることがわかります。ですから、③ではフェースはしっかりと閉じてくれるのです。
(2)腰の回転を意識する
(1)で、アウトサイドインの軌道を意識しても、手打ちになってしまえば、意味はありません。それを防止するための「機能」が、森田プロのスイングに隠されています。
それが、腰の回転です。お尻の★印が①→②→③と経るにしたがってしっかりと移動していることがよく理解できるでしょう。
つまり、アウトサイドインの軌道は、腰の回転を上手に利用して生み出されているのです。言い換えると手はその回転に添えられているだけだともいえるのです。
フェースを閉じるという言葉には、手が「フェースを閉じる」というニュアンスが入っている印象がありますが、むしろ、腰の回転やスイングのアウトサイドインの軌道によって「フェースは閉じられる」ものであると理解するべきなのです。
森田理香子プロのスイングに組み込まれた「機能」は、それをよくあらわしています。
プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第2シーズンは、森田理香子プロのスイングに着目し、その「美しき機能」に迫る。
前回は、森田プロの特長である高いトップについて、お話させていただいた。(前回の内容はこちら)
今回は、短いアプローチショットに組み込まれた森田プロのスイングの「機能」についてお話します。シリーズ最終回の前編です。
◆短いアプローチショットに組み込まれた森田プロのスイングの「機能」(前編)
距離の短いアプローチショットで気をつけたいのは、ダフリでしょう。ラフでもない場所でも、起こってしまうダフり。それを避けるための基本的な考え方として、
まずはフェースを開くまたは、開き気味ショットをするという基本を理解します。
(1)開いたフェースのメリット
短いアプローチショットでは、出来る限りフェースを開いて打ちましょう。アイアンやウエッジなどのクラブを使ったショットのミスは、リーディングエッジが芝と過剰にふれることで発生します。フェースを開くことで、リーディングエッジが浮き、ソールが芝と触れやすくすることで、クラブが滑りやすくなります。
(2)クラブは鋭角に入れる
開いたフェースのメリットをより強化するためにもクラブは鋭角に入れていきます。理由は、フェースは開いているので、クラブは鋭角に入るほうが、リーディングエッジの浮いた状態を保ちやすいのです。そのためには、手首をしっかり折ってコックをしながら、クラブを上げていきます。
(3)開いたフェースは閉じる
ただ、開いたフェースは閉じなければなりません。理由は、開いたままのフェースで打つとボールは右に大きく出てしまいます。「フェースは閉じないといけない」この意識は案外厄介な問題を引き起こします。
(4)閉じる意識がもたらす影響
フェースを閉じようとする意識が高いと手打ちで打ってしまいやすくなります。また、手首をこねて閉じようとする意識がうまれやすくなります。手首をこねてよいことが無いのは、他のショット同様です。
(5)森田プロはどうしているのか?
この問題を森田プロはどのように解決しているのでしょうか?後半はその点に焦点を当てていきます。
プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第2シーズンは、森田理香子プロのスイングに着目し、その「美しき機能」に迫る。
前回は、森田プロの肩と腰の捻転のバランスについて、お話させていただいた。(前回の内容はこちら)
森田プロのスイングの見事さは、ドライバー270Y超ともいわれるドライバーショット。基本に忠実な捻転がその原動力だ。森田プロの魅力は、ドライバーショットだけではない。アイアンショットでもその「基本への忠実度」は際立っている。
今回と次回は、アイアンショットについてお話する。
◆美しいアイアンのスイング軌道。その秘密はコック。
ドライバーショットとアイアンショットの違い。それは、コックの存在にあるだろう。森田プロのスイングをみてもそれは、顕著である。ドライバーショットが、外回りの軌道だとすれば、アイアンショットは内回りの軌道。
アイアンショットを語る上で、欠かせないコックの「機能」を森田プロのスイングから見ていこう。
◆コックの機能。3つのチェックポイントで理解しよう。
コックの機能には、3つのチェックポイントから見ていくと理解しやすい。それは、
(1)テークバックからコックを入れるタイミング
(2)トップの位置
(3)コックをほどくタイミング
である。
このコックの扱いこそが、アイアンショットの土台であり、正しく理解し、実践したいものである。
◆ポイント1 テークバックからコックを入れるタイミング
コックは、単純に手首を折るという動作と考えてはいけない。正しいタイミングでコックを入れることで得られる最大のメリットは、正しいスイング軌道にクラブを乗せることにある。
◆8時の位置で、コックを入れるイメージ
コックを入れるタイミング。それは、時計でいうと、8時の位置からコックを入れていくということである。
理由は、それは逆説的にな説明になるが、「それ以前にコックを入れてはいけない」ということである。
8時の位置まで、コックを我慢すると言い換えてもいいだろう。そうしなと何が問題なのか。
それは、
・クラブがスイング軌道から外れてしまいやすい
・フェースが開いてしまう
のである。
この2つがなぜ問題なのかは、今回の議論の趣旨ではないので、言及しないがその問題を防ぐために、コックのタイミングはぜひ理解しておいてほしい。
コツは図の右側にあるように、8時の位置までは、クラブが体の方向にあることだ。そうすることで、フェースは閉じてくれる。
スライスで悩んでいる人はぜひ、意識しておいてほしいポイントである。
~プロのカタチ!~形態は機能に従う~ 19世紀後半を代表するアメリカの建築家、ルイス・サリヴァンは言った。
「形態は機能に従う(form follows function. )」と。
無駄のない機能を追及する結果表れる形態。それは時に美しく、機能美として称えられる。これは、当然ゴルフのスイングにもあてはまる。
プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く。プロゴルファーによって確立された共通のカタチ。その形態は、どのような機能が裏打ちされているのか。
プロの技術を味わっていただきたい。
男女を問わず、一般ゴルファーに参考になる女子プロゴルファーの代表格、森田理香子選手。
GOLF-MODE読者アンケートでも、高い支持を得ている。今回シリーズの「プロのカタチ!」は、森田理香子プロから、一般ゴルファーにも応用できる「機能」を探っていこう。
「よどみの無いスウィング(が魅力)」と本誌アンケートでお答えになった読者の言葉通り、森田理香子プロのスイングには、無駄な動きが感じられない。
その美しいスイングに組み込まれた機能を読み解いていこう。
美しき捻転。それは、理想的な肩と腰の回転に由来する。
森田プロのスイングでまず、目立つのは理想的な2つの回転である。
ひとつは、肩の回転、もうひとつは、腰の回転である。
◆理想的な肩の回転
まず、肩の回転であるが、頭を中心にして、左右の肩を結んだ線の回転をみると、ほぼ90°回転している。
注目点は左肩。左の肩は、あごの下までしっかり回さなければいけないことがよくわかる。 女子プロゴルファーの中には、もっと肩回転をかける選手もいるが、森田プロは、基本に忠実である。
肩の回転を90°程度に回すことによって、背中は、ターゲットを向く。
ここも重要なポイントである。背中が飛ばしたいボールの方向に向いていることによって、安定した方向性を、担保することができる。
◆腰の回転は肩の半分
次に腰の回転であるが、肩の回転のほぼ半分が理想とされている。森田プロの腰の回転は、その理想的な数値に近いことがわかる。
ベルトのバックルの位置が、トップの位置にきたとき、ほぼ右足の膝頭の方向を向いている。その角度が概ね頭の位置を中心にして、45°程度になっている。
◆森田理香子プロのここを学ぶ!
肩の回転と腰の回転は、双方が正しく回ることで、強い力を生み出すことができる。 また、その正しい回転こそが森田プロの美しいスイングを生み出している。
ぜひ、この回転の妙を学んでほしい。
プロのカタチ!~形態は機能に従う~Ⅳ
2013年12月05日 category:プロのカタチ!~形態は機能に従う~プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第1回目は、今年(2013年)のマスターズの覇者、アダム・スコットのスイングに注目し、「ヘッドを走らせる」技術を考える。
-アダム・スコットの「ヘッドを走らせる」技術(4)-
前回は、右ひじの役割の重要性についてお話させていただいた。(前回の内容はこちら)シリーズ最終回の今回は、これまでの議論のまとめをしたい。
★さまざな工夫の到達点
第1回では、左手首の位置、およびその使い方について、第2回は肩の縦回転について、第3回は、右ひじの役割について議論させていただいた。今回はそのまとめである。ここに分割してきた議論は、最終的にヘッドを走らせるという機能につながっている。
★小さい腕のアーク
再度、アダム・スコットのスイングを見てみよう。トップから下ろした腕は、右ひじを体に密着させ、できるかぎり小さく回そうとしている(図の赤の線)。さらに肩を縦に回すように意識することによって、腕は限りなく最短距離を小さく回る。このことが意味すること。それは、ドライバーショットであるにも関わらず、大きく振ろうという意識は全くみられないということである。それこそが、アダム・スコットの工夫の根本なのである。
アダム・スコットのスイングに埋め込まれたヘッドを走らせる機能。それは、腕の動きは極力小さくし、腕は、最短の経路を通すことにある。
★振り遅れはゴルフクラブの必然
では、なぜアダム・スコットは腕を最短の経路で通そうとするのだろうか。それは、ゴルフのクラブは軽く、長いからである。ゴルフのスイングにおいて、ヘッドがなかなか出てこず、結果として振り遅れてしまうのは、ここに原因がある。このことを強く意識することなしに、ヘッドを走らせることはできない。図示しているように、クラブヘッドは青の線上の軌道をまわる。必然的に大きな円軌道を描くクラブヘッドが振り遅れしないようにするためには、腕は限りなく小さな円軌道で振ることが求められるのである。
★クラブヘッドを回すイメージをもつ
ここまで議論すると、腕を大きく振ることのないアダム・スコットのスイングの意図が見えてくるだろう。アダム・スコットは、クラブヘッドの動きを基準にスイングを組み立てているのだ。振り遅れることなく、ジャストタイミングでヘッドがアドレス時の位置に戻ってくるための工夫。それが、小さな腕の動きなのである。皆さんのスイングもクラブヘッドの動きを基準に改めてみてほしい。腕は思った以上に振れないと気がつくはずである。
このシリーズのまとめ。それは、ヘッドを走らせるためには、腕をコンパクトに振ることだ。そのための工夫をスイングに組み込む必要がある。3つのチェックポイントを意識し、その機能のスイングに取り込もう。良い結果が得られることを心から願っている。
プロのカタチ!~形態は機能に従う~Ⅲ
2013年11月15日 category:プロのカタチ!~形態は機能に従う~プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第1回目は、今年(2013年)のマスターズの覇者、アダム・スコットのスイングに注目し、「ヘッドを走らせる」技術を考える。
-アダム・スコットの「ヘッドを走らせる」技術(3)-
前回は、肩の回転について解説させていただいた。(前回の内容はこちら) 今回は、それを踏まえたスイング軌道についてお話しする。それを実感していただくドリルもご紹介しよう。
★右ひじを体につけておくメリット
インパクト時における、アダム・スコットの肩の動きは限りなく縦回転になる。前回の結論から、話をはじめたい。縦回転を確保するために欠かせない工夫が、「右ひじを体から離さない」ということである。感覚的に掴める理由は、そんなに難しいものではない。単純に、前傾姿勢を維持したまま、肩を縦回転させるためには、トップの後は右ひじはできる限り体についていた方が回転させやすいからだ。
★クラブを短く持ってスイング軌道を覚えよう
右ひじを体から離さないスイングの感覚を覚えるための、ドリルは簡単だ。短めのクラブ(シャフトのみでもよい)の真ん中付近を握りスイング軌道を体に覚えこませるように素振りをする。クラブの真ん中付近を握って練習するのは、右ひじを体から離すとグリップ部が左脇などに当たってしまうからだ。当たらない様にスイングするためには、右ひじは体から離せないのだ。
★右ひじを体から離さない本当のメリット
右ひじを体から離さない最大の目的は、肩の回転、腰の回転を一体化させることにある。アダム・スコットのスイングでその機能をみてみよう。インパクト時に右ひじを体から離さないことによって、肩の回転は、腰の回転に結び付けられていることを意味する。つまり、体から離さない右ひじは、二つの回転をつなぎとめる留め金のような役割を果たすのである。ゴルフのスイングは、肩と腰の回転から推進力を出す。それを一体化させるのが、右ひじを体から離さないことなのである。
さらに、クラブの延長線(図の赤色の線)と肩回転(図の青色の線)の縦回転、腰の回転(図のオレンジ色の線)の接点が右ひじになっていることがわかってもらえるだろうか。右ひじを体から離さないことは、つなぎ止められた二つの回転力をクラブに伝える役割も果たすのである。
★最後はひとつにつながる
肩の縦回転を確実にし、腰の回転との一体化をもたらしてくれる右ひじの動き。これら、一連の動きは、結果としてヘッドを走らせる効果をもたらす。3回に分けて議論した内容のまとめとして、シリーズ最終回の次回にそのことをお話したい。
プロのカタチ!~形態は機能に従う~Ⅱ
2013年10月20日 category:プロのカタチ!~形態は機能に従う~プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第1回目は、今年(2013年)のマスターズの覇者、アダム・スコットのスイングに注目し、「ヘッドを走らせる」技術を考える。
アダム・スコットの「ヘッドを走らせる」技術(2) 前回は、左手首が、振り子の支点のように動くことで、ヘッドを走らせているということをお話しさせていただいた(前回の内容はこちら) 今回は、ヘッドを走らせる技術を実際にあなたのスイングに組み込む工夫を考えよう。
★正しい肩回転への意識を持つ!
左手首をてこの支点として、はたらかせるための重要な役割は、肩の回転である。理由は後ほど触れるとして、まずは肩回転の基本を理解しておこう。 ゴルフのスイングは肩と腰の二つの回転によりパワーを生み出している。腰の回転は、横の回転であるからあまり強く意識しなくても、実践できているゴルファーが多い。しかし、肩の回転は、あいまいになっている場合が多く回転の軌道への意識が必要だ。
★肩回転の基本
「肩回転は、背骨に対して垂直」が基本である。前傾を維持し、上半身に対して垂直と言い換えてもいいだろう。スイングプレーンの考え方にも合致している。下図のアダム・スコットのスイングでもバックスイング時(図左)は、背骨の線(青)に対して肩回転のライン(赤)は、垂直になっている。アダム・スコットも基本に忠実に従っていることがよくわかる。
★トップから変わる肩回転の軌道
しかし、トップからは様相が変わる。ここにアダム・スコットのプロのスイングとしての機能が見てとれる。図右のインパクト時の肩回転のライン(赤)と背骨の線(青)のなす角度は、90度を超えている。肩回転は、限りなく縦の回転になっている。
★肩の縦回転のメリット
肩の縦回転には、さまざまなメリットがある。まずは、前傾姿勢を保ちやすいという点である。縦回転を意識しない場合、肩回転は、腰の回転と同様に横に流れがち。それが前傾姿勢を崩す原因となる。それを防ぐことができる。また、スイング軌道をインサイドアウト、アッパーブローに保ちやすいこともメリットだ。
★肩の縦回転と左手首
肩の縦回転は、左手首の位置に影響を与える。アドレス時の位置に戻った左手首は、肩の縦の回転に従い左上の方向に動く。それは、左足前の位置に残りやすいともいえる。前号でお話しした、左手首がてこの支点の役割を果たすことができるのは、左手首が、左足の前に残ることができるからである。そして、それがヘッドを走らせる機能を担保しているのである。
お詫び 今号は、前号の予告とは内容を変更して掲載いたしました。
プロのカタチ!~形態は機能に従う~
2013年09月25日 category:プロのカタチ!~形態は機能に従う~~プロのカタチ!~形態は機能に従う~ 19世紀後半を代表するアメリカの建築家、ルイス・サリヴァンは言った。
「形態は機能に従う(form follows function. )」と。 新幹線の前部の形状が、ピノキオの鼻のように伸び続けるているのは、トンネル通過時にかかる空気抵抗を極限まで減らすためである。
無駄のない機能を追及する結果表れる形態。それは時に美しく、機能美として称えられる。しかしこれは、建築や工業デザインに限った話ではない。
当然のこととして、ゴルフのスイングにもあてはまるのである。プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く。プロゴルファーによって確立された共通のカタチ。その形態は、どのような機能が裏打ちされているのか。
プロの技術を味わっていただきたい。 アダム・スコットの「ヘッドを走らせる」技術(1)
1回目は、今年(2013年)のマスターズの覇者、アダム・スコットである。オーストラリア出身選手として初めて、グリーンジャケットに袖を通した32歳。彼のスイングを通じて着目したいのは、「ヘッドが走るとはどういうことか」である。
★左手首の役割を意識せよ!
インパクト直前、ゴルフクラブは振り子のように動いている。アダム・スコットのスイングを見ればそれは明らかだ。インパクト前、ボールの前に左手首が到達してから、インパクトまでの間、左手首の位置(図の矢印)はあまり動いていない。
これは、左手首を振り子の支点として意識しているからだ。インパクト後、ゴルフクラブは、腕を追い越していく。 彼が意識しているのは、ヘッドを走らせることではなく、「ヘッドが走る工夫」であろうことはわかってもらえるだろうか。
★すべてはインパクトのために!
左手の位置を意識し、肩回転による腕の動きは、ヘッドの動きを意識してインパクトへむけて調整させている。インパクトの瞬間、左手(赤の線)とクラブ(黄色の線)が一直線になっている。これは、クラブ(クラブヘッド)の動きと腕の動きをインパクトで合わせるように同調させているのである。
★ヘッドを走らせるとはどういうことか。
(1)左手首を支点として使い、ゴルフクラブを振り子のように動かす。
(2)腕(右手と左手からできる三角形)の動きをインパクトに向けてゴルフクラブと同調させる。 ということである。 ヘッドを走らせる。これは誤解をまねく表現である。人間が能動的な動きによって、特に腕の動きによってヘッドを走らせることができるような印象を与える表現である。
しかし、アダム・スコットのスイングを見る限りそのような「機能」は皆無である。
★腕の動きではヘッドは走らない。
注目してほしいのが、右手と左手でできる三角形である。これがまったく崩れていない。つまり、腕には余分な力が全く働いていないのである。
このことがわかると、腕の動きによってヘッドを走らせることができるという幻想からは、少なくとも開放されるだろう。
次回は、このことを踏まえヘッドを走らせる「機能」をあなたに組み込むドリルを中心にお話したい。
クラブは握らない!~スコアアップ戦略会議~file.4
2013年07月11日 category:プロのカタチ!~形態は機能に従う~「クラブは握らない!~スコアアップ戦略会議~」は、「分析力」「戦略力」を高めることでスコアアップを目指します。数字を管理することは、ゴルフが上達すること。上達のための情報管理、分析、戦略のマネジメントを提案させていただきます。
今回の議題「myゴルフノートにラウンドの記録を残す!~その2~」
今回は、ラウンドの記録づけについてお話をしたい。想定しているゴルファーは、100前後のゴルファーを中心とした層だ。ある程度の距離のコントロールができている上級者は、想定していないのでご注意いただきたい。
下の図は記録のイメージ図だ。A~Cのパートに分けてポイントをお話しする。
― Aパート ―
◇ラウンド前 ・まずは、ホールの全体像を把握しておくべきだ。重要なのは、俯瞰的な視点だ。ラウンドするゴルフ場のホームページなどからホールの画像をダウンロードして、ノートに貼り付ける。 ・サンプルは、架空のゴルフ場のため、手書きスケッチにしている。ただ、手書きスケッチの方がより全体像を深くイメージできるので時間があればこちらがおすすめである。 ・一度ラウンドしたことがあるゴルフ場ならば、そのときに得た情報を書き込んでおく(図の赤の部分)
◇ラウンド後 ・ボールの動きを書き込む。落下地点とボールの止まった位置のズレが大きいときは、その旨書いておくとよいだろう。 →キャリーの出やすさや傾斜の情報として役に立つ。 ・ボールの動きは、言葉にしておく。後から見直すときに記憶を手繰り寄せるカギになる。
― Bパート ―
ラウンド前に、このホールの攻略のポイントをまとめておく。注意する点は、「自分がどこを重視してこのホールを攻略するか」をはっきりさせておくことだ。
このホールでの攻略のポイントを3つ程度ピックアップする。重要なのは攻略の意識をもち、そのプロセスを大切にすること。そのときに、打数への意識を強くもちすぎないこともあわせて強調しておきたい。打数のコントロールは、ショットの技量と不可分である。「ショットの技量はまだ発展途上なのだから」と割り切り、ホール攻略と打数は切り離しておくことである。
― Cパート ―
ここは、ラウンド後に記入する。反省は、必ず2つの視点で行う。それは、「悪かった点の反省」と「良かった点の反省」である。反省は、ついつい悪かった点だけを振り返りがちであるが、必ず良かった点も振り返ること。悪かった点も良かった点もそれぞれに「原因」がある。良かった点の原因がわかると「こうすればうまくいく」という自分を成長させるノウハウが身につく。過信や慢心は良くないが、悪い点ばかりをつきつめるのはよくない。
反省点は、思いつく限りどんどん書き込む。これをできるだけ多く出せるかが上達のカギを握る。プラス、マイナスの反省点を多く出せることは、改善の意識の高さと比例しているからだ。次のラウンドまでの間に多くの反省点を出しておこう。
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