プロのカタチ!~形態は機能に従う~Ⅱ
2013年10月20日 category:プロのカタチ!~形態は機能に従う~プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第1回目は、今年(2013年)のマスターズの覇者、アダム・スコットのスイングに注目し、「ヘッドを走らせる」技術を考える。
アダム・スコットの「ヘッドを走らせる」技術(2) 前回は、左手首が、振り子の支点のように動くことで、ヘッドを走らせているということをお話しさせていただいた(前回の内容はこちら) 今回は、ヘッドを走らせる技術を実際にあなたのスイングに組み込む工夫を考えよう。
★正しい肩回転への意識を持つ!
左手首をてこの支点として、はたらかせるための重要な役割は、肩の回転である。理由は後ほど触れるとして、まずは肩回転の基本を理解しておこう。 ゴルフのスイングは肩と腰の二つの回転によりパワーを生み出している。腰の回転は、横の回転であるからあまり強く意識しなくても、実践できているゴルファーが多い。しかし、肩の回転は、あいまいになっている場合が多く回転の軌道への意識が必要だ。
★肩回転の基本
「肩回転は、背骨に対して垂直」が基本である。前傾を維持し、上半身に対して垂直と言い換えてもいいだろう。スイングプレーンの考え方にも合致している。下図のアダム・スコットのスイングでもバックスイング時(図左)は、背骨の線(青)に対して肩回転のライン(赤)は、垂直になっている。アダム・スコットも基本に忠実に従っていることがよくわかる。
★トップから変わる肩回転の軌道
しかし、トップからは様相が変わる。ここにアダム・スコットのプロのスイングとしての機能が見てとれる。図右のインパクト時の肩回転のライン(赤)と背骨の線(青)のなす角度は、90度を超えている。肩回転は、限りなく縦の回転になっている。
★肩の縦回転のメリット
肩の縦回転には、さまざまなメリットがある。まずは、前傾姿勢を保ちやすいという点である。縦回転を意識しない場合、肩回転は、腰の回転と同様に横に流れがち。それが前傾姿勢を崩す原因となる。それを防ぐことができる。また、スイング軌道をインサイドアウト、アッパーブローに保ちやすいこともメリットだ。
★肩の縦回転と左手首
肩の縦回転は、左手首の位置に影響を与える。アドレス時の位置に戻った左手首は、肩の縦の回転に従い左上の方向に動く。それは、左足前の位置に残りやすいともいえる。前号でお話しした、左手首がてこの支点の役割を果たすことができるのは、左手首が、左足の前に残ることができるからである。そして、それがヘッドを走らせる機能を担保しているのである。
お詫び 今号は、前号の予告とは内容を変更して掲載いたしました。