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ブランド化は、上昇気流にのって。~サントリー・プレモルに見る市場のダイナミズム~

2014年08月20日 category:ゴルフモード・カルチャー

ゴルフモードカルチャー2

 

ビール事業に参入して40年余りの年月を経て黒字に転換したサントリー。その牽引役となったのは、ご存知『ザ・プレミアム・モルツ』(プレモル)である。

 

 

 

長年赤字に苦しんできたサントリーのビール部門が反転攻勢のきっかけとなったこの商品。

 

勝因は、徹底した高級化路線にある。

 

市場に高級ビールの商品が少なかっため、未成熟の高級ビール市場でシェアをとることができた。キリンビールの、『キリンラガービール』、アサヒビールの『アサヒスーパードライ』という看板商品は、一般市場向け。高級ビールは、サッポロビールの『ヱビスビール』位しかなく、ライバルの数が少なかったのである。

では、なぜサントリーは、高級ビール市場に商品を供給しようとしたのであろうか。

 

もともと『モルツ』ブランドは、一般市場向けの商品で、『ザ・プレミアム・モルツ』はそれを衣替えしたものだ。

 

2強と一定の固定ファンのいる『サッポロ黒ラベル』(サッポロビール)に挟まれた苦しい立ち位置だったとはいえ、高級化路線への転換は、一見するとリスクでしかないようにも映る。

 

しかし、『ザ・プレミアム・モルツ』の勝算は、ビール系商品の推移を正しく見極めた戦略の勝利である。サントリーは、しっかり勝ちのイメージをもっての転換だったのだ。

 

長引く不況は、消費者の財布の紐を固くし、嗜好品であるビールはその価格を厳しく見極められる商品となった。売れ筋は、発泡酒、さらには第3のビールへとシフトする。

 

物語はそこで終わらない。消費者は、味も満足度も落ちる発泡酒、第3のビールを飲み続けるうちに、「たまには、本格的なおいしいビールを飲みたい。頻繁に飲まないのであれば、少々高くてもいい」という考えを募らせていく。

 

各メーカーが売れ筋商品を追求していくうちに、消費者が自分たちの内面に「高級ビールへの渇望つまり、市場ニーズを形成していたのである」

 

「たまに飲むビールは、おいしいく高級なものを!」

 

ここで、ポイントとなるのは、その受け皿が、『ラガービール』や『スーパードライ』になりにくかったことにある。

 

消費者が、わかりやすく「これは高級ビールである」と認知する仕掛けがこれら2つには欠けていた。

 

それは、「名前」「色」「イメージ」で、そして、期待を裏切らない味である。

 

 

プレモルは、名前に「プレミアム」という高級感を喚起させる名前をいれ、商品のテーマカラーは、「ゴールド」を採用。テレビCMでも、金が目立つように工夫した。さらに、徹底した営業戦略で、高級レストランでの採用に尽力している。

 

高級化路線へ舵を切る決断さえできれば、日本のメーカーの技術力をもってすれば、高級ビールとして差別化できるビールは、高すぎる壁とはなりにくい。

それは、『ザ・プレミアム・モルツ』の味をもってして証明されている。

 

そして、この相乗効果として、プレモルはブランド化にも成功した。ブランド化は、言い換えると高級イメージ化でもある。高額商品は、イメージを売る、夢を売ることでもある。 『シャネル』しかり、『グッチ』しかりである。

 

日本のビール市場に少なかった高級ビール市場。それを自ら開拓し、自らをブランド化するまでに牽引したプレモル。

 

キリンビールやアサヒビールなどの先発の勝者からプレモルがうまれなかったことは、マーケットのダイナミックさを感じる。

 

言い換えると、成功したビジネスモデルは、つねに破綻の危険に晒されているとも言える。

 

未来に確定していることは何もない。これはビジネスと厳しい掟でもある。

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