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サリバンとライト~建築学。教えの系譜、学びの系譜~

2013年09月12日 category:ゴルフモード・カルチャー

建築における設計者は、創造者である。

 

時に経済の影響を受け、時に自然科学の制約をうける建築物は、純粋な芸術性の追求を阻むものに囲まれている。

 

だからこそ、偉大な建築家は激しい情熱と技術への深い造詣を志向し、知識と知恵を駆使し自らのインスピレーションに導かれる世界を築く。

 

建築はそのようなプロセスを踏むものであるから、人のつながりをたどることができる。

 

「form follows function」(形態は機能に従う)の言葉を残したルイス・サリバンとサリバンと師弟関係にあったフランク・ロイド・ライト。二人の建築家の系譜もまた、同様である。

 

ルイス・サリバン

カナダとの国境を接する五大湖。そのエリー湖とオンタリオ湖に挟まれたニューヨーク州バッファロー。ここにルイス・サリバンの代表作、プルデンシャル(ギャランティ)ビル(1894年)は建つ。

 

Buffalo, NY / JasonParis

建物表面に細かく施された装飾こそ、時代を感じさせるが、全体から受ける印象は、「現代の新築ビルにも存在しそうなデザイン」である。

 

その印象こそが、彼の存在を現在まで留める名言、「形態は機能に従う」の真髄であろう。 このころ、技術革新で急速に低価格化した鉄の値段。

 

鉄の加工技術と並行するかたちで、誕生した鉄骨構造のビルが産声をあげる。高層化を実現させた画期的な建築方法の誕生。

 

サリバンは、その工法を熟知する一方で、高層ビルのデザインの収斂を自らの作品で予言した。 プルデンシャル(ギャランティ)ビルの形態(高層ビルのデザイン)は、機能(高層ビルの工法)に従っている。

 

直線系であれ、流線型であれ、高層ビルのデザインは、この形態を最小単位としてみることができる。どのビルも同じとまでは言わないが、少なくとも工学的、物理学的な逸脱はありえないといえるだろう。

 

フランク・ロイド・ライト

 

フランク・ロイド・ライトの名を世に知らしめる作品となったのは、落水荘(アメリカ・ペンシルバニア州)である。この作品が、個人の邸宅であることは、ライトのキャリアとの関係が深い。彼は、ルイス・サリバンの建築事務所に所属していたとき個人邸宅の設計を多く受け持っていた。

 

Fallingwater House – Frank Lloyd Wright (1937) / pablo.sanchez

ライトの師、サリバンが深化への志向という縦への動きを持っていたのに対して、彼は横への動きを見せる。その動きは、当時の建築界としては未開の地である日本へ赴き、帝国ホテル(現帝国ホテル・ライト館)の設計に関わっていたことが何よりの証左だ。

 

落水荘が象徴しているように、ライトの作品は周囲の調和、融合なくしてその魅力を語ることはできない。落水荘が見るもの全てを惹きつけ、圧倒されるのは建物が周囲の自然との一体化しているからだ。彼の視点は建物を離れて見ることを前提にしているかのようだ。

 

些細ないさかいでサリバンと袂を分かったライトだったが、デザインの収斂を意識した作品が目立つ。いくつかの共通項に分類できる彼の作品の特長は、サリバンの教えの系譜に沿ったものだともいえるのではないだろうか。

 

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