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Tag: プロのカタチ!~形態は機能に従う~


プロのカタチ!~形態は機能に従う~Ⅳ

2013年12月05日 — 2:00pm

プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第1回目は、今年(2013年)のマスターズの覇者、アダム・スコットのスイングに注目し、「ヘッドを走らせる」技術を考える。

 

-アダム・スコットの「ヘッドを走らせる」技術(4)-

 

前回は、右ひじの役割の重要性についてお話させていただいた。(前回の内容はこちら)シリーズ最終回の今回は、これまでの議論のまとめをしたい。

 

★さまざな工夫の到達点

 

第1回では、左手首の位置、およびその使い方について、第2回は肩の縦回転について、第3回は、右ひじの役割について議論させていただいた。今回はそのまとめである。ここに分割してきた議論は、最終的にヘッドを走らせるという機能につながっている。

 

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★小さい腕のアーク

 

再度、アダム・スコットのスイングを見てみよう。トップから下ろした腕は、右ひじを体に密着させ、できるかぎり小さく回そうとしている(図の赤の線)。さらに肩を縦に回すように意識することによって、腕は限りなく最短距離を小さく回る。このことが意味すること。それは、ドライバーショットであるにも関わらず、大きく振ろうという意識は全くみられないということである。それこそが、アダム・スコットの工夫の根本なのである。

 

アダム・スコットのスイングに埋め込まれたヘッドを走らせる機能。それは、腕の動きは極力小さくし、腕は、最短の経路を通すことにある。

 

★振り遅れはゴルフクラブの必然

 

では、なぜアダム・スコットは腕を最短の経路で通そうとするのだろうか。それは、ゴルフのクラブは軽く、長いからである。ゴルフのスイングにおいて、ヘッドがなかなか出てこず、結果として振り遅れてしまうのは、ここに原因がある。このことを強く意識することなしに、ヘッドを走らせることはできない。図示しているように、クラブヘッドは青の線上の軌道をまわる。必然的に大きな円軌道を描くクラブヘッドが振り遅れしないようにするためには、腕は限りなく小さな円軌道で振ることが求められるのである。

 

★クラブヘッドを回すイメージをもつ

 

ここまで議論すると、腕を大きく振ることのないアダム・スコットのスイングの意図が見えてくるだろう。アダム・スコットは、クラブヘッドの動きを基準にスイングを組み立てているのだ。振り遅れることなく、ジャストタイミングでヘッドがアドレス時の位置に戻ってくるための工夫。それが、小さな腕の動きなのである。皆さんのスイングもクラブヘッドの動きを基準に改めてみてほしい。腕は思った以上に振れないと気がつくはずである。

 

このシリーズのまとめ。それは、ヘッドを走らせるためには、腕をコンパクトに振ることだ。そのための工夫をスイングに組み込む必要がある。3つのチェックポイントを意識し、その機能のスイングに取り込もう。良い結果が得られることを心から願っている。

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プロのカタチ!~形態は機能に従う~Ⅲ

2013年11月15日 — 9:50am

プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第1回目は、今年(2013年)のマスターズの覇者、アダム・スコットのスイングに注目し、「ヘッドを走らせる」技術を考える。

 

-アダム・スコットの「ヘッドを走らせる」技術(3)-

 

前回は、肩の回転について解説させていただいた。(前回の内容はこちら) 今回は、それを踏まえたスイング軌道についてお話しする。それを実感していただくドリルもご紹介しよう。

 

 

★右ひじを体につけておくメリット

 

インパクト時における、アダム・スコットの肩の動きは限りなく縦回転になる。前回の結論から、話をはじめたい。縦回転を確保するために欠かせない工夫が、「右ひじを体から離さない」ということである。感覚的に掴める理由は、そんなに難しいものではない。単純に、前傾姿勢を維持したまま、肩を縦回転させるためには、トップの後は右ひじはできる限り体についていた方が回転させやすいからだ。

 

 

★クラブを短く持ってスイング軌道を覚えよう

 

右ひじを体から離さないスイングの感覚を覚えるための、ドリルは簡単だ。短めのクラブ(シャフトのみでもよい)の真ん中付近を握りスイング軌道を体に覚えこませるように素振りをする。クラブの真ん中付近を握って練習するのは、右ひじを体から離すとグリップ部が左脇などに当たってしまうからだ。当たらない様にスイングするためには、右ひじは体から離せないのだ。

 

 

★右ひじを体から離さない本当のメリット

 

右ひじを体から離さない最大の目的は、肩の回転、腰の回転を一体化させることにある。アダム・スコットのスイングでその機能をみてみよう。インパクト時に右ひじを体から離さないことによって、肩の回転は、腰の回転に結び付けられていることを意味する。つまり、体から離さない右ひじは、二つの回転をつなぎとめる留め金のような役割を果たすのである。ゴルフのスイングは、肩と腰の回転から推進力を出す。それを一体化させるのが、右ひじを体から離さないことなのである。

 

プロのカタチ 11月

 

さらに、クラブの延長線(図の赤色の線)と肩回転(図の青色の線)の縦回転、腰の回転(図のオレンジ色の線)の接点が右ひじになっていることがわかってもらえるだろうか。右ひじを体から離さないことは、つなぎ止められた二つの回転力をクラブに伝える役割も果たすのである。

 

★最後はひとつにつながる

 

肩の縦回転を確実にし、腰の回転との一体化をもたらしてくれる右ひじの動き。これら、一連の動きは、結果としてヘッドを走らせる効果をもたらす。3回に分けて議論した内容のまとめとして、シリーズ最終回の次回にそのことをお話したい。

 

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プロのカタチ!~形態は機能に従う~Ⅱ

2013年10月20日 — 10:25pm

プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第1回目は、今年(2013年)のマスターズの覇者、アダム・スコットのスイングに注目し、「ヘッドを走らせる」技術を考える。

 

アダム・スコットの「ヘッドを走らせる」技術(2) 前回は、左手首が、振り子の支点のように動くことで、ヘッドを走らせているということをお話しさせていただいた(前回の内容はこちら) 今回は、ヘッドを走らせる技術を実際にあなたのスイングに組み込む工夫を考えよう。

 

★正しい肩回転への意識を持つ!

 

左手首をてこの支点として、はたらかせるための重要な役割は、肩の回転である。理由は後ほど触れるとして、まずは肩回転の基本を理解しておこう。 ゴルフのスイングは肩と腰の二つの回転によりパワーを生み出している。腰の回転は、横の回転であるからあまり強く意識しなくても、実践できているゴルファーが多い。しかし、肩の回転は、あいまいになっている場合が多く回転の軌道への意識が必要だ。

 

 

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★肩回転の基本

 

「肩回転は、背骨に対して垂直」が基本である。前傾を維持し、上半身に対して垂直と言い換えてもいいだろう。スイングプレーンの考え方にも合致している。下図のアダム・スコットのスイングでもバックスイング時(図左)は、背骨の線(青)に対して肩回転のライン(赤)は、垂直になっている。アダム・スコットも基本に忠実に従っていることがよくわかる。

 

 

★トップから変わる肩回転の軌道

 

しかし、トップからは様相が変わる。ここにアダム・スコットのプロのスイングとしての機能が見てとれる。図右のインパクト時の肩回転のライン(赤)と背骨の線(青)のなす角度は、90度を超えている。肩回転は、限りなく縦の回転になっている。

 

 

★肩の縦回転のメリット

 

肩の縦回転には、さまざまなメリットがある。まずは、前傾姿勢を保ちやすいという点である。縦回転を意識しない場合、肩回転は、腰の回転と同様に横に流れがち。それが前傾姿勢を崩す原因となる。それを防ぐことができる。また、スイング軌道をインサイドアウト、アッパーブローに保ちやすいこともメリットだ。

 

 

★肩の縦回転と左手首

 

肩の縦回転は、左手首の位置に影響を与える。アドレス時の位置に戻った左手首は、肩の縦の回転に従い左上の方向に動く。それは、左足前の位置に残りやすいともいえる。前号でお話しした、左手首がてこの支点の役割を果たすことができるのは、左手首が、左足の前に残ることができるからである。そして、それがヘッドを走らせる機能を担保しているのである。

 

 

お詫び 今号は、前号の予告とは内容を変更して掲載いたしました。

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プロのカタチ!~形態は機能に従う~

2013年09月25日 — 12:43pm

~プロのカタチ!~形態は機能に従う~ 19世紀後半を代表するアメリカの建築家、ルイス・サリヴァンは言った。

 

「形態は機能に従う(form follows function. )」と。 新幹線の前部の形状が、ピノキオの鼻のように伸び続けるているのは、トンネル通過時にかかる空気抵抗を極限まで減らすためである。

 

無駄のない機能を追及する結果表れる形態。それは時に美しく、機能美として称えられる。しかしこれは、建築や工業デザインに限った話ではない。

 

当然のこととして、ゴルフのスイングにもあてはまるのである。プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く。プロゴルファーによって確立された共通のカタチ。その形態は、どのような機能が裏打ちされているのか。

 

プロの技術を味わっていただきたい。 アダム・スコットの「ヘッドを走らせる」技術(1)

 

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1回目は、今年(2013年)のマスターズの覇者、アダム・スコットである。オーストラリア出身選手として初めて、グリーンジャケットに袖を通した32歳。彼のスイングを通じて着目したいのは、「ヘッドが走るとはどういうことか」である。

 

★左手首の役割を意識せよ!

 

インパクト直前、ゴルフクラブは振り子のように動いている。アダム・スコットのスイングを見ればそれは明らかだ。インパクト前、ボールの前に左手首が到達してから、インパクトまでの間、左手首の位置(図の矢印)はあまり動いていない。

 

これは、左手首を振り子の支点として意識しているからだ。インパクト後、ゴルフクラブは、腕を追い越していく。 彼が意識しているのは、ヘッドを走らせることではなく、「ヘッドが走る工夫」であろうことはわかってもらえるだろうか。

 

 

★すべてはインパクトのために!

 

左手の位置を意識し、肩回転による腕の動きは、ヘッドの動きを意識してインパクトへむけて調整させている。インパクトの瞬間、左手(赤の線)とクラブ(黄色の線)が一直線になっている。これは、クラブ(クラブヘッド)の動きと腕の動きをインパクトで合わせるように同調させているのである。

 

 

★ヘッドを走らせるとはどういうことか。

 

(1)左手首を支点として使い、ゴルフクラブを振り子のように動かす。

(2)腕(右手と左手からできる三角形)の動きをインパクトに向けてゴルフクラブと同調させる。 ということである。 ヘッドを走らせる。これは誤解をまねく表現である。人間が能動的な動きによって、特に腕の動きによってヘッドを走らせることができるような印象を与える表現である。

しかし、アダム・スコットのスイングを見る限りそのような「機能」は皆無である。

 

 

★腕の動きではヘッドは走らない。

 

注目してほしいのが、右手と左手でできる三角形である。これがまったく崩れていない。つまり、腕には余分な力が全く働いていないのである。

 

このことがわかると、腕の動きによってヘッドを走らせることができるという幻想からは、少なくとも開放されるだろう。

 

次回は、このことを踏まえヘッドを走らせる「機能」をあなたに組み込むドリルを中心にお話したい。

 

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