プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第2シーズンは、森田理香子プロのスイングに着目し、その「美しき機能」に迫る。
前回は、森田プロのコックのタイミングの妙について、お話させていただいた。(前回の内容はこちら)
今回は、森田プロの特長である高いトップについて、お話しします。
森田プロのスイングの特長のひとつは、高いトップの位置から振り下ろされるダイナミックなスイングにあるといえるでしょう。
では、高いトップのメリットは何でしょうか?
それは、やはり「クラブが立ちやすい」ということでしょう。
つまり、クラブがスイングプレーンを外れることなく、通ってくれるということです。
スイングプレーンから外れると、いわゆる「クラブが寝た」状態になります。
クラブが寝た状態とは、つまりは、腕が体から離れているということを意味します。
腕だけでクラブを支えますから、ドライバーのようなヘッドの重いクラブは、ヘッドの重みでさらにクラブが寝てしまいます。
このようなクラブが寝た状態で、ボールを打つとプッシュアウト系のスライスを誘発してしまいます。それが続くと、無理にフェースをコントロールしようとして、引っかけやチーピンへとつながります。
これを防ぐための「機能」は、森田プロのスイングを見れば、一目瞭然ですね。
「右ひじ」を体から離さないということです。
高いトップは、一度、右ひじが低いトップのスイングよりも体から外れますが、腰の回転と連動して、左手主導で振り下ろし、右ひじは体にこすりつけるように過度に密着させていきます。
フェード系の安定した球筋が打てるようになれば、合格といえるでしょう。
高いトップは、スライス防止には有効な方法なので、スライスに悩んでいるゴルファーは、特に参考にしていただきたい「機能」ですね。
プロのカタチ!~形態は機能に従う~Ⅳ
2014年01月17日 category:プロのカタチ!!~形態は機能に従う~プロゴルファーの形態に注目し、その機能を読み解く新シリーズ、第1回目は、今年(2013年)のマスターズの覇者、アダム・スコットのスイングに注目し、「ヘッドを走らせる」技術を考える。
-アダム・スコットの「ヘッドを走らせる」技術(4)-
前回は、右ひじの役割の重要性についてお話させていただいた。(前回の内容はこちら)シリーズ最終回の今回は、これまでの議論のまとめをしたい。
★さまざな工夫の到達点
第1回では、左手首の位置、およびその使い方について、第2回は肩の縦回転について、第3回は、右ひじの役割について議論させていただいた。今回はそのまとめである。ここに分割してきた議論は、最終的にヘッドを走らせるという機能につながっている。
★小さい腕のアーク
再度、アダム・スコットのスイングを見てみよう。トップから下ろした腕は、右ひじを体に密着させ、できるかぎり小さく回そうとしている(図の赤の線)。さらに肩を縦に回すように意識することによって、腕は限りなく最短距離を小さく回る。このことが意味すること。それは、ドライバーショットであるにも関わらず、大きく振ろうという意識は全くみられないということである。それこそが、アダム・スコットの工夫の根本なのである。
アダム・スコットのスイングに埋め込まれたヘッドを走らせる機能。それは、腕の動きは極力小さくし、腕は、最短の経路を通すことにある。
★振り遅れはゴルフクラブの必然
では、なぜアダム・スコットは腕を最短の経路で通そうとするのだろうか。それは、ゴルフのクラブは軽く、長いからである。ゴルフのスイングにおいて、ヘッドがなかなか出てこず、結果として振り遅れてしまうのは、ここに原因がある。このことを強く意識することなしに、ヘッドを走らせることはできない。図示しているように、クラブヘッドは青の線上の軌道をまわる。必然的に大きな円軌道を描くクラブヘッドが振り遅れしないようにするためには、腕は限りなく小さな円軌道で振ることが求められるのである。
★クラブヘッドを回すイメージをもつ
ここまで議論すると、腕を大きく振ることのないアダム・スコットのスイングの意図が見えてくるだろう。アダム・スコットは、クラブヘッドの動きを基準にスイングを組み立てているのだ。振り遅れることなく、ジャストタイミングでヘッドがアドレス時の位置に戻ってくるための工夫。それが、小さな腕の動きなのである。皆さんのスイングもクラブヘッドの動きを基準に改めてみてほしい。腕は思った以上に振れないと気がつくはずである。
このシリーズのまとめ。それは、ヘッドを走らせるためには、腕をコンパクトに振ることだ。そのための工夫をスイングに組み込む必要がある。3つのチェックポイントを意識し、その機能のスイングに取り込もう。良い結果が得られることを心から願っている。