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ヒュー・グラント。英国テイストの魅力。

2013年07月11日 category:ゴルフモード・カルチャー

 

ヒュー・グラントとドリュー・バリモアのラブコメディー。もうひとりの主役が1980年代の音楽。

 

この頃、洋楽を聴いていた世代(40歳~50歳代)はより楽しめる構成となっている。

ヒュー・グラントは、優しすぎて、ちょっと頼りない男を演じさせると天才的な役者だが、今回もその期待をはずすことはない。

 

彼が演じるアレックスは、1980年代に活躍したバンドの元サイドボーカル。元スターでありながら、傲慢さの欠片もなく、プライドをかなぐり捨てたように、元スターの肩書きビジネス(同窓会や遊園地などでの営業興行)にいそしむ日々。

 

現実に流され、それに抗う元気も術もない様は、『ノッティングヒルの恋人(Notting Hill)』(1999年)のカッターに通じる。

 

一方、相手役のドリュー・バリモアは、普通でない役者にも関わらず「普通の女の子」を演じさせるとこちらも天才的だ。

 

『25年目のキス(Never Been Kissed)』(1999年)では、彼氏いない暦25年の女の子を違和感なく演じるすごさに度肝を抜かれたが、今回も言語感覚に才能の片鱗を見せるものの基本は普通の女の子、ソフィーを演じる。

 

個性的なキャラの姉とのシーンでのソフィーの存在感のなさ(オーラの消し方)は見事で、スーッと見るものを映画の世界に導いてくれる。 ラブソングができるまで

基本的には、オーソドックスな展開のラブコメディである。マーク・ローレンスのテンポのよい会話中心のシナリオ構成が秀逸で、 「センスのいい男女の会話を楽しみ」、「後半に向けての盛り上がりを楽しみ」、「後味のよいエンディングを楽しむ」というラブコメの王道を貫いた作品である。

 

扱っている内容が下世話な部分がありながら、上品な味わいをだしているのは、ここにポイントがあるように思う。 そんなこの映画のスパイスとして効いているのが、1980年代の音楽。

 

アレックスは、この時代に活躍したアイドル系バンド「PoP!」の元ボーカルの設定。冒頭に流れるワムやデュラン・デュランを彷彿とさせる、「PoP!」のチープな展開のPVが笑える。

 

若き日のアレックスの馬鹿っぽい髪型、振り付けを「まじめに演じる」ヒュー・グラントの役者魂に脱帽である。 たとえ彼の話すセリフがアメリカ英語であったとしても、ヒュー・グラントの口からでる言葉はどこか英国風だ。

 

彼がラブコメの主役でありつづけることができる理由のひとつがこの厳密な発音を重んじるイギリス英語の気品だろう。この上品な雰囲気を楽しむことも彼の出演する映画の魅力でもある。

 

ラブコメは、小さい世界で描くのがベストだ。そこに宿る広がらない世界によるリアリティが物語の基盤になるからだ。この小さい器に盛り込まれる物語の細微さが映画の価値を決めてしまう。

 

大掛かりなセットなど不要で、それゆえに多くの作品がつくられるラブコメだが、秀作が生まれる率は低い。その点で、この作品はこれからも多くの人に鑑賞されていく作品といえるだろう。

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