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「もめない」相続対策!生命保険金って相続財産?

2015年01月21日 category:ゴルファーニュース

Aさんに、子どもはいません。夫のBさんには前妻との間に息子がいます。Bさんは、受取人をAさんに指定して、生命保険をかけています。万が一の時、支払われる生命保険金は、すべてAさんのものでしょうか?それとも、前妻の息子と、相続分にしたがって、分けなければならないのでしょうか?

保険LR

 生命保険の契約をしたときに、被保険者や保険金受取人を指定します。相続が発生すると、生命保険金は受取人の財産になります。他に相続人が何人いようとも、受取人に指定された方だけが、原則受け取る権利があります。遺産分割する必要はありません。金融機関で凍結されることもありません。

 

生命保険の保険金は、預金や土地、その他、故人の財産とは異なります。「みなし相続財産」として相続税の対象にはなりますが、受取人の固有の財産ということで、保険金は受け取ることができるのです。よって、このケースでは支払われる生命保険金はすべてAさんのものになります。

 

生命保険金が相続財産となるかどうかは、受取人が誰と指定されているかによって変わってきます。生命保険の受取人が亡くなった本人であった場合、つまり、自分を受取人として自分に生命保険をかけていたときは、生命保険金は相続財産となります。これに対し、受取人が亡くなった本人ではなかった場合には、生命保険金は相続財産とはなりません。

 

ところで、相続は、被相続人の死亡した時の財産を基準に分配されますが、生前にたくさんの財産を贈与されている人がいる場合には、その点を考慮しないで分配すると不公平になってしまいます。そこで、民法では、相続人のうちで、このように生前贈与(遺贈も含む)を受けている人がいる場合には、この生前贈与分の財産も、相続分の前渡しとみなして、相続財産に加え、遺産の分配をすることとしています。この生前贈与分を特別受益といいます。

 

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 たとえば、Bさんが死亡し、相続財産が5000万円、相続人はAさんと前妻の息子で、Aさんは以前Bさんから2000万円を贈与されていたという場合、5000万円をAさんと前妻の息子で2500万 円ずつ分けるのではなく、相続財産に生前贈与分を加算した7000万円を半分にし、3500万円をAさんに、残りの3500万円を前妻の息子に分配することになるのです。

 

では、生命保険金はどうでしょうか。相続人のうちの一人が生命保険金の受取人として保険金を受けとった場合は、その実質はその相続人が被相続人から生前贈与ないしは遺贈を受けたのとあまり変わりません。そこで、そのような場合、生命保険金そのものは相続財産ではないものの、相続人間の公平をはかるために、生前贈与や遺贈の場合と同じように、特別受益とみるべきではないかということが主張されたのです。

 

この点は、平成16年10月29日に、最高裁判所の判例がでて、「生命保険金は特別受益ではない」と結論付けられています。つまり、生命保険金を相続財産に持ち戻して、相続人同士で分配する必要はありません。

 

とはいっても、まったく例外がないわけではありません。最高裁の判例でも例外の発生する余地が残されています。具体的には、支払われた保険金の額や、その保険金の遺産の総額に対する比率、受取人の被相続人に対する貢献度合いなど、あらゆる事情を総合的に判断したうえで、生命保険金の支払いが、他の相続人との関係で、著しく不公平であるような場合には、生命保険金も特別受益にあたることになります。

 

そして、生命保険金が特別受益にあたる場合には、特別受益分として

 

(1)被相続人が支払った保険料総額

(2)被相続人死亡時の解約返戻金額

(3)払い込んだ保険料の保険料全額に対する割合を保険金に乗じた金額

 

などを相続財産に持ち戻してから、遺産分割をすることとなるのが一般です。

 

以上のとおりですので、本ケースでも、事情によっては、生命保険金の一部を、相続財産に持ち戻して、遺産分割協議をしなければならない場合もあります。

 

なお、相続放棄をして生命保険金を受け取る場合、相続財産の基礎控除( 5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数)の対象にはなりますが、生命保険の非課税枠(500万円×相続人の数)は受けられません。非課税枠のメリットはありませんが、保険金を受け取れるメリットと比較すると比べ物にならないはずです。

 

生命保険の活用が「もめない」相続対策の大きな助けになるかもしれません。

 

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