大人旅×ゴルフ「軽井沢で過ごす夏」
2012年07月09日 category:ゴルファーニュース軽井沢。初夏の声を聞くと心の中に湧き上がる、渇望と羨望。
都会のアスファルトを抉(えぐ)る荒れ狂った真夏の太陽も、この地では木立の隙間から、母なる大地を優しく照らす。大きく吸いこんだ少し冷たい空気は、ビジネスという迷宮の中で倦み傷ついた身体をゆっくりと少年の日々にもどしてくれるだろう。
Karuizawa / veroyama
第114回直木賞を受賞した小池真理子の「恋」(新潮文庫)。静かに人生を終えた主人公、矢野布美子の「現在」から始まる深遠な大人の恋愛物語。この物語の重要な舞台装置となったのが軽井沢である。若き日の布美子の人生を決定的に変えた片瀬夫妻が所有する、中軽井沢の別荘。
ゆるやかな風が吹き、外の木々が涼しげな葉ずれの音をたてた。くるくると蠢(うごめ)く光の渦がカーテンに映し出され、室内にかすかな甘い夏の香りが漂った。
小池真理子の筆にかかった軽井沢の地は、鮮やかに軽やかに、そして最後は、厳かに読み手の心に染み渡っていく。
Hotel OTOWANO MORI, Karuizawa / veroyama
窓を開け軽井沢の空気を室内に入れるとき、五感に触れるものすべてに自然の恵みを感じていたい。軽井沢の宿には、そんなささやかで贅沢な願いを求めてしまう。開業30年の旧軽井沢 ホテル音羽ノ森は、美しい庭園と西洋風の建物に代表されるもてなしで旅人の切実な願いを叶えてくれるはずだ。このホテルのもうひとつの顔はスイーツ。パテイシエのかける魔法は多くの女性に笑顔を授けてくれる。
あなたが、生粋のゴルファーである限り、旅の主役はここでもゴルフである。軽井沢72ゴルフ 北コースは、NEC軽井沢72ゴルフトーナメントの開催コース。その名が示すとおり、東西南北の全72コースある軽井沢を代表するチャンピオンコースだ。中でも北コースは最高の難易度を誇る。ただ、広いフェアウエイ、起伏のないフラットなコースレイアウトは、その戦略性を隠し味にとどめ、リゾート気分を損なうものではない。このコースのアクセントは池。上がり3ホールにあるそれぞれのウォーターハザードは、あなたをリゾート気分から解き放ち、真剣勝負の妙味を思い出させてくれる。
Rolleiflex_Karuizawa_19 / Jun Takeuchi
デッキチェアに身体を預け、包み込まれるような背中の感覚を研ぎ澄まし、ゆっくりと目を閉じる。軽井沢に響き渡る風の音色が、耳元で静かに囁(ささや)く。まどろみの中でみる夢は、命の泉となって、乾ききった心を潤してくれるだろう。