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ゴルフのリクツ!!

ゴルフのリクツ!!初級者スライスを克服する(2)

ゴルフのリクツ!!2013年春シーズンは、初級者スライスを採り上げています。前回は、スライスはゴルフクラブの特性から自然に発生するものであり、フェースの開きを意識して防がないと「当然に」スライスしてしまうというお話をしています。(前回の内容はこちら

「クラブの特性から、スライスは普通に起こる」
これを理解しているかどうかは、ゴルフ上達の上で大きな分岐点になります。そこを理解していないゴルファーが陥るのが、「アウトサイドイン軌道問題」だからです。

人間には問題を修正しようとする能力が備わっています。普通にボールを打っても右にスライスしていまう。なんとかしたい!まっすぐ打ちたい!と思うがゆえにそれを修正しようとします。そこで、出てくる行動が左へ打とうとする意識です。

CAJZUKAFところが、その意識。それがアウトサイドイン軌道に陥る原因であり、入り口です。意識して左へ打とうとしているのであれば、まだいいのですが、やっかいなことにその意識がないままアウトサイドイン軌道になっているゴルファーも残念ながら多いのが現実です。

アウトサイドイン軌道のスイングは、ここで指摘するまでもなくスライスの原因のひとつです。初級者スライスの中心を成すものであり、この克服や防止なくして上達はありません。

アウトサイドイン軌道に陥ることなく、正しい軌道を描くようにスイングする。そのための視覚的な目安になっているのが、ご存知のVゾーンです。首と腰、それぞれがボールと結ぶ2本のラインにクラブ軌道が収まるようにすることが重要です。テークバック時に上側(図のスライスゾーン)に外れるとほとんどのアマチュアゴルファーはスライスしています。

ですからまずは、テークバック時の軌道に注意しましょう。正しく振り上げることができれば、正しく振り下ろせます。テークバック時にVゾーンに収まるスイング軌道をマスターしましょう。次回はそのお話です。



ゴルフのリクツ!!初級者スライスを克服する(1)

スライスは、ゴルファーの永遠の悩みと言われます。それは、なぜでしょうか?それは、スライスが起こるメカニズムに大きく関係しています。まずは、スライスの原因を正しく理解しましょう。その後に、対処法をご紹介します。今シリーズは、スライス克服のドリルもご紹介します。

★スライスは、上達してもついて回る悩み
初級者のレベルにあるとき、上達すればスライスの悩みから開放されると思いがちですが、スライスは中、上級者であっても程度の差こそあれ、なかなか開放されない悩みです。その理由は、スライスが起こる原因が1つではないからです。しかし、スライスの根源的な原因は、初級者が抱えるスライスの悩みです。今シリーズは、この「初級者スライスを理解し、克服する」ことをテーマとします。

1回目の今回は、初級者スライスの起こるメカニズムの理解(前編)です。

まずは、クラブを手のひらにのせてみましょう。ドライバーであれ、アイアンであれ、フェイスが上を向くように、つまり時計回りの方向に倒れると思います。ゴルフクラブは、打点の場所がシャフトの延長線上にないため、重心の位置が異なるのです(ドライバーならフェイスの中心よりやや内側)。ですから、クラブを平面上に置けば、何もしなくても、フェイスが上を向く方向へ力が加わる特性を持っています。

このゴルフクラブの特性、スイング時ではどのような現象を引き起こすのでしょうか?

それは、バックスイング時にフェイスを開かせる方向へ力をかけていくのです。初級者スライスに悩むゴルファーの方なら、一度は「フェースが開いているよ」と指摘されたことがあるのではないでしょうか?

golf

ゴルフクラブは、「普通にスイングするだけ」で、フェースが開いてしまうものなのです。ですから、このゴルフクラブの特性を理解し、そのための対策を講じる必要性感じていなければ、これは直りません。フェースが開いたまま、ボールを打てば当然にスライスします。

プロや上級者は、ここに神経を使っています。図のようにフェースが開かないように、前傾した背中のラインとフェイスのラインが平行となるような工夫をしています。
普段の素振りや練習場でのスイングであっても常にフェースが開かない意識を持ってください。時には、自分のスイングを第三者に見てもらったり、ビデオやカメラで撮影してフェースの開きがないかチェックをしておきましょう。

今回は、まとめとしてスライスは、ゴルフクラブの宿命なのだということを理解してください。このことを理解していないと、問題はさらにこじれてしまいます。次回はそのお話です。



ゴルフのリクツ!!藤田プロの体重移動を学ぶ(後編)



今回のゴルフのリクツ!!は、藤田寛之プロ(葛城GC)のスイングから体重移動の基本を学ぶシリーズです。前編はアドレスからトップまでをお話ししました(前編はこちら)。後半は、トップからフィニッシュまでをお話しします。

まず、トップからの動きで意識していただきたいことは、「左足の使い方」です。「下半身からスイングをつくる」のシリーズの際にお話ししましたように、切り返しからの始動で、大切なことは「左足をしっかり踏み込む」こと。これは、腰の位置を決めるための動作です。そして決めた位置で腰を回転させます。(詳しくは、「下半身からスイングをつくる(2)」をご覧下さい)

体重移動を組み込んだスイングでは、「左足の踏み込み」の際に体重移動が組み込まれるのです。ただ、体重移動を意識するが故に発生するミスが生じるのも事実。今回は、その点を重視してお話しします。

◆「体重移動の完了」→「回転の開始」でミスを防止!
トップから切り返しでは、体重移動を完了させてから回転を開始するようにしましょう。左右の動きの体重移動と回転の2つの異なる動きを分けることで、ミスを減らすことができます。その際に、意識してほしいのがリズム。「(体重を)移して、(腰を)回す」の動きをリズムよく動作することで連続性が確保されます。切り返してからは、一連の動き。リズム感を大事にして下さい。

◆移動した体重を左足の拇指球で支える
体重移動は、右足の拇指球から左足の拇指球へ移動することが基本です。つまり、右足の内側の筋肉から左足の筋肉へ体重を移すこと。外側に体重がかかると下半身が左に流れスエーになってしまいます。ここは、もっとも強く意識してください。拇指球に体重を乗せることは、いわゆる「カカト体重」を防ぎ、ボールの左右へのブレも防ぐことができます。

◆頭は右側に残すイメージをもつ。
「体重移動をする」+「左足を踏み込む」ことが意識として残ると発生しがちなミスが「上体が突っ込むこと」です。体重移動は、下半身の動きで左右の動き。上半身は、回転で円軌道の動きです。上半身が下半身に連動して左へ動くことは、ゴルフのスイングの根幹である回転を破壊することへ直結します。ですから頭は右側に残すイメージをもつことが重要です。クラブのヘッドを右足の前で通過するのが見えているか意識しましょう。

藤田プロは、頭が若干右側に倒れるほどに右側に残っています。「頭は動かさない」ほどは、意識しなくても大丈夫です。結果として頭が動くことは自然なこと。「右側に残すイメージ」を大切にしてスイングしてください。

◆左腕はまっすぐ伸ばす。
体重移動は、スイングの回転への意識を弱めがちです。ですから左腕はしっかり伸ばすこと。体が回転しなければ、左腕を伸ばしたまスイングはできません。コックを意識している方は、手首の角度変えないように意識すると良いでしょう。左腕はまっすぐ伸ばすことでスイングの軌道を安定化させましょう。

体重移動。正しく行えば飛距離アップの切り札になりますが、ミスの温床にもなりやすいもの。そして、ミスの大半は体重移動によって回転運動に与える悪影響です。そのことを強く意識して上手に体重移動をスイングに組み込んでください。



藤田プロの体重移動を学ぶ(前編)



2012年の賞金王、藤田寛之プロ(葛城GC)。日本で最も体重移動を上手くスイングに組み込んだ選手のひとりですね。このトッププロから体重移動のコツを学びましょう。

まずは、体重移動のメリット、デメリットをお話しましょう。日本人の多くのトッププロが体重移動を組み込んだスイングをする理由は、パワー不足の補完です。欧米人に比べて体格的に劣る日本人(東洋人)が飛距離不足を補うために行っているのが体重移動です。

ただ、スイングの基本は、回転です。体重移動は、基本の回転にプラスするものと理解しましょう。体重移動は、スイングに上手く組み込めば、回転という基本と矛盾することなく、正しく機能します。

しかし、この体重移動は、スイングを破壊するだけのデメリットも兼ね備えています。代表的な例がスエー。円軌道である回転と左右の動きの体重移動。この異なった動きは、考え方の方向性を誤る危険性が高く、リスクのあるスキルであるということも理解しておきましょう。

前編の今回は、トップまでの注意点をお話します。

◆まずは、膝を適度に曲げて重心を下げる。
体重移動をスイングに組み込む上で、適度に膝を曲げて、重心を下げることは、まず最初に意識することになります。「前傾の維持」、「腰の回転によって始動」する回転の基本と体重移動がうまくかみ合うための重要な動作になります。

◆キーワードは拇指球から拇指球へ。
体重移動を行う最大のメリットは、体重の移動の力をボールに伝えることです。アドレスからトップまでの動きの中で右足に体重を乗せて行きます。その際のポイントは、拇指球で右足に乗った体重を支えること。

そうすることで、右足の内側の筋肉で体重を受け止めることができます。これでスエーを防ぐだけでなく、左足への体重移動がスムーズになります。ですから左足も拇指球で支えておきます。

体重は、内側の筋肉が受け止めて、右足の拇指球から左足の拇指球へ移動させる。それが体重移動の基本的考え方です。

◆体はしっかり回転。
体重移動は、左右の動き。体重移動への意識が強すぎると、どうしても回転の意識が弱まります。ですから、トップまでの動きでは、それを防ぐ工夫をスイングに組み込んでおきましょう。図で示しているように藤田プロは、胸が外を向くまでしっかり体を回しています。しっかり身体を回す意識を持つために、右足の付け根にパワーを溜めるイメージを持ちましょう。

身体がしっかり回ればここに体重が乗る感覚がでてきます。そのとき、右のお尻の筋肉が張ってきますので、ここをポイントにしてもいいでしょう。

◆トップまではゆっくりスイングでOK!
体重移動を組み込んだスイングは、「右足に体重をぐっと乗せて」打ちに行きます。ですからトップまでとトップからが別のプロセスと考えることができます。藤田プロもトップで、ひと呼吸があります。動きを確認するようにゆっくり動いて構いません。

後編の次回は、体重を移す際に発生しがちなミスの防止を中心に、トップからフィニッシュまでをお話します。



アイアンを使いこなす!(3)



ゴルフのリクツ!!「アイアンを使いこなす!」の3回目です。(アイアンを使いこなす!(1)アイアンを使いこなす!(2)もチェック!)
前回は、アイアンのスイングには2つの工夫、「アイアン用のスイングをうまく行う工夫」と「ミスを減らすための工夫」のうち、「アイアン用のスイングをうまく行う工夫」をお話しました。今回は、「ミスを減らすための工夫」を解説します。

アイアンショットのミスの原因。それは、ドライバーよりも強烈なインパクトのイメージが誘導する「手打ち」がその大半を占めていると言っていいでしょう。ですから「ミスを減らすための工夫」は、必然的に「手打リスク対策」になります。そして、その工夫は、トップの位置からの切り返しに多く含まれています。今回は、そこに焦点を当ててみましょう。

繰り返しになりますが、アイアンショットといってもスイングの基本は、同じです。前傾姿勢を大切にし、下半身主導でスイングをつくる。しかし、それを阻むのが「手打ちリスク」。そのため、アイアンショットでは、ドライバーショット以上に腰の回転を意識しましょう。切り返す際に、「腰の回転で打つ!」と言い聞かせてもいい位です。

たとえ、うまく腰の回転をつかってうまく切り返すことが出来ても、インパクトが近づくほどクラブ軌道が気になってしまう。それが「手打ちリスク」の本当の怖さでしょう。ですから、克服のカギは「腰の回転と腕の動きの一体化」にあります。そこでポイントとなるのが、「右ひじの使い方」です。右腰の回転に合わせて脇を締め、右ひじを体に密着させます。そうすると、クラブ軌道が、腰の回転ときちんと連動するようになります。その結果、腰の回転と腕の動きが「一体化」するのです。その上で、きちんと前傾を保ち、ボールとの距離をきちんと保ち続けられれば、スイング軌道は安定します。腰の回転がクラブを動かしている形になるため、当然といえば当然ですね。腰の回転で打つことが出来れば、スイング軌道は気にならなくなります。正しく振れれば、無理に手打ちをする必要がないからです。

さらに、右ひざを上手く使えれば、より安定感が増してきます。右腰がきれいに回れば、右ひざも連動してちゃんと回りますが、右ひざの動きを意識すれば、より腰の回転をスムーズにしてくれます。アイアンショットでは、頭をしっかり残すこともポイント。ドライバー以上に方向が気になるものですが、我慢が必要です。また、トップを小さくしたので、フォローは小さくが原則です。

最後に、今回のシリーズのまとめをしておきましょう。アイアンのスイングで重要なのは、コンパクトに振ること。そして、手打ちのリスクを減らすことです。緩めのグリップとコックを使って、体の近くでスイング軌道をつくります。トップは小さくまとめ、腰の回転を強く意識するスイングを心がけてください。手打ちリスクを避けるためにも右ひじは体に密着させておくことがポイントです。



アイアンを使いこなす!(2)

ゴルフのリクツ!!「アイアンを使いこなす!」の2回目です。(アイアンを使いこなす!(1)はこちら

前回は、アイアンのスイングには2つの工夫が必要ということをお話しました。「アイアン用のスイングをうまく行う工夫」と「ミスを減らすための工夫」です。今回は、「アイアン用のスイングをうまく行う工夫」を軸にスイングのポイントを解説します。

アイアンショットは距離の精度を求められます。飛距離は必要ありません。ですから心がけることは、「コンパクトに振ること」です。そのための工夫をスイングに組み込んでいきましょう。

(i)腕の力を抜く
アイアンショットは、クラブ軌道が気になりやすく手打ちになりやすい。ですからまずは、手から意識を離し、腕の力を抜く工夫が必要です。そのために、グリップを工夫しましょう。指先で握るフィンガーグリップがおススメです。コックがしやすいというメリットもありますが、力まないというメリットが大きい。腕の力を抜いた状態のアドレスから始動しましょう。

(ii)身体の近いところで回す



遠心力を使い、大きく振るドライバーショットを外回りとするならば、コンパクトに振るアイアンショットは「内回り」。身体の近いところでクラブ回す工夫をしましょう。コツは、早めのコック。左腕をまっすぐに保ったままでもコックを早くすると図Aのようにクラブは、身体の近いところを回ります。腰から始動し、早めのコックで手首を縦に折ってヘッドを引っ張りあげるイメージです。ただし、前傾姿勢の維持は絶対条件。これはアイアンでもドライバーでも同じです。

(iii)小さいトップ

アイアンショットでは、トップの位置が重要です。大きくないトップをつくる工夫をしましょう。ポイントは右ひじ。図Bのように「左腕を伸ばしたまま、右ひじが下を向く」位置でトップをつくります。トップを大きくとってしまうと左ひじが曲がりやすくなります。左腕が曲がるとスイング軌道がブレてしまい、簡単には直せません。飛距離を求める必要のないアイアンでは大きいトップは不要です。右ひじが下を向くように心がけることで、トップを小さくすることができます。

アイアンショットであっても「前傾姿勢を保つ」「下半身からスイングをつくる」点は同じです。基本をベースにアイアン用のショットとしてアレンジしていきましょう。

次回は、「ミスを減らすための工夫」を中心に解説します。



「アイアンを使いこなす!(1) アイアンの特性を知る 」

秋になりました。ゴルフのベストシーズン到来です。「ゴルフのリクツ!!」も秋シーズンになり連載再開です。秋のシーズンの連載テーマは「アイアンを使いこなす!」。ラウンド中に最も使うクラブであり、スコアの良し悪しに強く影響を与えるクラブであるアイアン。秋はこのクラブの技術向上を目指しましょう。

1回目の今回のテーマは、「アイアンの特性を知る」です。ウッドと形が違うということは、何を意味するのか。形の特性を活かすスイングとは何かをまずは理解しましょう。

(1)アイアンの役割とスイング

175/365: Chip & Dip / bradleypjohnson


ご存知の通り、アイアンは距離を打ち揃えるクラブ。球の上がる高さの違いを利用して距離を調節していくクラブです。大切なことは、アイアンに飛距離は必要ないという点。ですから、スイングは「コンパクトに振る」ことが原則。コンパクトに振るということは、大きく振らない、クラブを体の近いところで回す工夫が必要であることを意味します。スイングの原則は変えず、ドライバーとは異なるスイングが求められるのです。

(2)アイアンショットのインパクト

アイアンショットの最大の特長はインパクトにあるといっていいでしょう。理想的なクラブの入りは、(ボールの)赤道面に対して鋭角。その理由はアイアンの場合、図にあるようにスイングの最下点がボールの前の下(地下)にあるからです。ティーアップのドライバーショットや払い打ちが原則のFWやUTのショットとは明らかに違う点です。この特徴的なインパクトが強い印象となってミスを誘発します。「ダフリ」はその典型例ですが、インパクトを意識するあまり、手打ちになってしまう・・・。アイアンショットでは、インパクトの強烈なイメージに負けない工夫をスイングに組み込むことが求められるのです。

(3)アイアンショットの2つの視点
(1)(2)を踏まえると、アイアンショットには2つの視点による工夫が求められていることに気がつきます。それは「アイアン用のスイングをうまく行う工夫」「ミスを減らすための工夫」です。アイアン用のスイングは、体の動き一つ一つに「合理的な理由」が隠れています。自分は、なぜこういうことをしているのかをしっかり説明できるようにスイングをつくり込んでいきましょう。

次回は、このアイアンの特性を理解した上で、この2つの視点の工夫を織り交ぜてスイングの解説をしていきます。



「下半身からスイングをつくる(2)」

ゴルフのリクツ!!「下半身からスイングをつくる」の2回目です。
(下半身からスイングをつくる(1)はこちら

今回は、トップからフィニッシュまでを考えていきます。
ポイントは、「左足の使い方」です。
左足は、(1)切り返しからの始動 と(2)インパクトまで で、動きがまったく異なっています。左足の役割を理解して、正しいスイングを身につけましょう。

(1)切り返しからの始動


切り返しからの始動は、「左足を踏み込んで」スタートさせることが最大のポイントです。ここで重要なのは、「何のために踏み込むのか」を強く意識することです。左足を踏み込む理由は、「腰の位置を決める」ためです。
左足を踏み込み、重心を落とす。これによって腰の位置が決まる。そして、その場所で腰を回転させるのです。

ゴルフのスイングは、回転力によってパワーを生み出しています。下半身の力を腰の回転に変換させることによってボールに推進力を与えています。左足の踏み込みは、その回転の場をつくる動作なのです。

腰の回転は、踏み込んだ左足を軸に地面と平行です。左腰でくるっと回すイメージで回転させるとうまくいきます。

ここで、「腰の回転でボールを打つ」ということの重要性を再度、強調しておきます。このイメージが飛んでしまうと、左足を踏み込む動作は、左足に体重を移すという動きになりやすくなります。上半身は左に流れ、スエーとなってしまいます。

(2)インパクトまで

腰の回転がはじまると、左足の動きは逆になります。ポイントは、左足は「跳ね上げて伸ばす」こと。伸ばす理由は2つあります。ひとつは、インパクトの際に、左手、左足、クラブが一直線に並ぶ「左半身のフラットライン」をつくるため。これによってパワーが上手く伝わり、方向が安定します。
もうひとつの理由は、上半身が左に開いたり、流れたりするのを防ぐためです。いわゆる「左の壁」をつくることですね。これで頭の位置が固定され、回転軸が安定します。その結果、遠心力でクラブヘッドを早く走らせることができます。また、スエーも防ぐことができます。

ここまでみていくと、下半身からスイングをつくることは、体を正しく回転させることだということが良くわかります。とくに、腰の回転が役割として大きいので、これが正しくできることが重要です。人間の意識の影響を受けにくい下半身の動きは、正しく出来るようになると再現性が高い動きになります。安定的なスイングには欠かせない要素です。ぜひマスターしてください!



「下半身からスイングをつくる(1)」

ゴルフのスイングでパワーを生み出すエンジン役は回転力です。
そして回転の場所は肩と腰の2ヶ所あります。

腰の回転は下半身のパワーを伝える役割を担っており、下半身からスイングをつくることで、ボールに強い推進力を与えることができます。
5、6月号はドライバーでもアイアンでも共通するスイングの骨格、下半身の動きに絞ってスイングをつくっていくことを考えます。

5月はアドレスからトップまでを考えていきましょう。ポイントは3つ。
(1)始動(2)右足(3)頭の位置です。



(1)始動
ここが最初で最大のポイントですから注意を払います。
アドレス時、下半身に力を入れ、ひざを曲げて重心を少し落とします。この動作には
・下半身に注意を向けさせる。
・前傾している上半身とのバランスをとる
という2つの意味があります。
大切にしてください。

そして、腰の回転でクラブを持ち上げるように始動しましょう。右腰で巻き上げるイメージです。右肩を若干下げるとスムーズにできます。右腰で巻き上げる感覚が掴みにくい方は左足を使います。左足から始動し、左腰で円を描くように動かします。左足が多少動いても大丈夫です。手をつかってクラブを上げるような始動はスエーへの呼び水ですから厳禁です。

(2)右足
始動がうまくいくと、右腰は奥に回り体重が右足に乗ってきます。そのとき、右ひざの位置は正面。これは絶対条件です。動きそうな場合は、右足を強く踏み込んで流れないようにします。体重が右股関節に乗った感覚ができれば合格です。ここでパワーを溜めるのです。

(3)頭の位置
トップに来たとき、頭の位置が左にずれないようにします。頭から地面までの線が回転の軸。これが動かないことで正しい回転が生まれます。右目でボールの右半球を追って頭の位置がずれないようにしましょう。

アドレスからトップまでの役割は、回転を生み出すパワーを蓄えることです。ゆっくりでいいので役割を理解し、正しく出来ることが大切です。下半身は力を入れ踏ん張り、逆に上半身に力むところはありません。これらができるようになるとスイングは下半身でつくることが当たり前だと思えるようになるから不思議です。

6月号では、トップからフィニッシュまでを特集します。ここでも最大の敵はスエー。その防止策もやっぱり下半身からのスイング!左足を上手く使ってスイングを安定させるコツもお届けする予定です。



「スエーを理解する」
mjtmail (tiggy)
本格的なゴルフシーズン到来!身体の使い方をメインにした「ゴルフのリクツ!!」もGMに再登場です。今回のテーマは「スエー」です。アマチュアゴルファーの最大の敵といってもいいスエー。今回はアドレスからトップまででおこるスエーにフォーカスします。
スエーは体重移動のトラブルです。体重を左から右に移す意識でスイングをすると右腰が右へ流れます。これがスエーの原因です。もっともシンプルなスエーの解決法は、はじめから右足に体重をかけてスイングをすることです。スエーがやっかいなのは、解決法がわかっていてもなかなか直しにくい点にあります。その理由は、スエー問題の根本は、体重を左から右へ動かそうとする「意識」にあるからです。人は、直感的に正しい感じることはなかなか直せないもの。

スエーをしている人は
(1)大きいスイングアーチができればボールは飛ぶ
(2)出来る限り右半身に体重が乗れば大きな力がうまれる
という思考を打ち破れていないようです。この2つは部分的には正しく、全体的には正しくないのですが、その思考を生み出している大元、それは、左から右へ移動するクラブの動きと、ボールを右側から叩きに行くクラブヘッドの動きです。(1)(2)が直感的に正しいと感じる人はこの動きを最適化しようとします。するとうまれるのが、上半身への過剰な意識です。そしてそれは、スエーへの入り口である右腰の流れを呼び込んでしまうのです。

スエーの問題は、スイングの主体を上半身でなく、下半身に意識を移さない限り直らないと思います。ですからスエーは、下半身主体のスイングを体系的につくり上げることに気がつく、いいきっかけでもあるのです。



特集 前傾姿勢を考える(前半) 「前傾姿勢の重要性を理解せよ」

「この人もそうだなあ」
ゴルフ雑誌でよく見かけるスイングの分解写真。そこで目につくプロとアマの大きな違い。そのひとつが、「上体(上半身)が起きていること」です。これは、多くのアマの欠点のひとつと言っていいでしょう。アドレスのときの前傾姿勢。脚のラインと上体(上半身)の角度は約45°。ここから少なくないアマの方はバックスイングの動きにつられるかのように上体が起き上がってきます。

閑話休題、ここでよく言われる前傾姿勢の重要性。どうして重要なのでしょう?

図を使ってドライバーショットで説明しましょう。


図の赤線が上体のライン。これがクラブが描く円軌道(青線)の軸になります。前傾を保てている図の左側の人は円軌道(青線)と回転軸(赤線)が直角になっていますね。それに対して、上体が起き上がっている図の右側の人はそれが直角になっていません。さらに右側の人に回転軸(赤線)と直角の軌道を無理やり引いてみましょう(緑線)。これではボールは当たりません。そうすると手をつかって無理にボールを当てにいくことになります。利き腕でコントロールしようとする意識が強まり、いわゆる手打ちになってしまいます。結果、下半身をつかったスイングになりません。話題のオンプレーンにもクラブ軌道は乗ってきません。
正しい回転軸を支えるのが前傾姿勢ということになるのです。
まずは前傾姿勢の重要性を理解しましょう。
後半は前傾姿勢が崩れる原因とその対策を考えていきます。



後半「前傾姿勢がうみ出す円軌道」

まずはテークバックの状態の図A、図Bを見てください。これは上体が起きてしまうアマの方とプロのスイングのイメージ図ですが、どちらがプロのイメージ図かわかりますか?赤の左腕、特に肩の位置に注目してください。


正解はAがアマの方、Bがプロです。では、この違い、どうしてうまれるのでしょうか?

その理由をお話する前に、前回のおさらいです。なぜ、前傾姿勢が重要か?それは正しい円軌道(クラブ軌道)上にボールがくるためには、前傾姿勢が保たれていなくてはならないからでした。

そこで、今回のテーマ、「前傾姿勢がうみ出す円軌道」」です。Aのアマ、Bのプロ。円軌道をどこからうみ出しているのかが決定的に違うのですが、わかりますか?

プロは腰の回転で円軌道をうみ出しているのに対して、アマの方は手の動きでうみ出しているのです。

多くのプロは腰から始動し、腰→手の順で連動しますから、腰の回転にクラブがついていく感じになります。そのため左肩の位置は頭の前。上体は回転しているため、正面から見ると肩幅は狭く見えます。

Aのアマの方は、手から始動し、手で円軌道をうみ出しているため、バックスイングのこの時点では腰はひねられることなく、腰の位置は正対したままです。

「前傾姿勢が大事なことはわかっているけど、上体がなぜか起き上がっている」という方いませんか?実はその理由、手でクラブの円軌道を手でうみ出しているからなのです。手で円軌道をうみ出すと、前傾姿勢でつくった上体は回転軸の役割を果たさず、手の動きにつられてしまう。すると上体は自然と起き上がってしまうのです。
バックスイングは腰から動かすイメージで始動しましょう。そうすれば、上体が起き上がってしまうという問題が解決するだけでなく、ゴルフ解説書でよく指摘されている「右腰の動きは前から後」の動きもスムーズにいきますよ。

最後に、今回のシリーズをまとめておきましょう。
クラブの円軌道上にボールがくるためには前傾姿勢が絶対条件。そしてクラブの円軌道を腰の回転によってうみ出しましょう。そうれば前傾姿勢を保ったまま正しいスイングができるようになります!正しいスイングを身につけて、明日、必ず、ベストグロス!

 



「世界で最も美しいフォームに学ぶ」



ルーク・ドナルドは世界で最も美しいスイングをするゴルファーのひとり。このトッププロから学びましょう。

ルークに限らずスイングの美しさの根幹は、「左半身のフラットライン」にあります。図Aのように、左手、左足、クラブが一直線に並びます。これにより、「方向が安定する」「パワーを無駄なくボールに伝えること」が可能となります。ルークは、これを安定的につくるのが本当に上手い選手です。では、この「左半身のフラットライン」、ルークは、どのようにして安定的につくりだしているのでしょうか?それは、左ひざの使い方にポイントがあります。

ダウンスイング時、体重を右足から左足に移す際の左ひざの動きが独特です。多くの選手は、左ひざが正面から見て左から右に動きます。インパクト前は、図2Aのように左ひざは曲がっています。しかし、ルークの左ひざは、極端に言うと下から上へ動きます(正確には左下から右上)。

図2Bのように、もうすでに左足はフラットになっていることがよくわかると思います。左ひざを上方に動かして、下半身のフラットラインを早めに準備(ちなみに左手もすでにフラット)、クラブを待っているというイメージです。ルークのスイングは、一番大切なインパクト時の形を安定的に生み出すスイングなのです。このようなスイングをすると、人の目には、「左半身のフラットライン」は一瞬で通り過ぎるのではなく、一定時間、残像が残ります。だからルークのスイングは何度みても美しいのです。

注意点があるとすれば、いわゆる「体重移動」による理論を否定しているスイングでもあること。飛距離よりも安定的なスイングを目指しているゴルファーには学ぶことが多いスイングだと思います。

 

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