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Tag: プロの思考、プロの技。


プロの思考、プロの技。L.ドナルド@宮崎ダンロップフェニックス

2012年12月17日 — 1:39pm


高度化された戦略の結晶であるプロの業(わざ)。ケーススタディの手法を用いて、これをアマチュアゴルファーにも役立つ法則へと導いてみよう。

今回は、ルーク・ドナルドのダンロップフェニックストーナメント3日目を採り上げる。初日-6、2日目-7のロケットスタートで首位を独走したドナルド。しかし、3日目は、パープレーを強いられる展開に。しかし、この3日目にこそ、彼が世界のトッププレーヤーである真髄が詰まっていた。

安定性の根源とは何か?

ルーク・ドナルドといえば、アイアン。「ショートゲームが自分のプロゴルファーとしての50%を占める」と言い切るほどの絶対的な強み。道具の進化に伴い、長くなる一方の欧米のコースセッティングにあって、「飛ばないドライバー」で結果を出し続ける稀有のプロゴルファー。

彼の生き様から届くメッセージは、「自分の強みを伸ばしなさい」だろう。まずは、これを肝に命じたい。

今回の話は、ここからである。
11月17日(土)。宮崎は雨だった。強風と豪雨の悪コンディション。数時間の中断を挟むほどの雨。多くのプロゴルファーがスコアメイクにてこずる展開。この日に限っては、ドナルドも同じだった。3バーディー、3ボギーのパープレー。2日目までの-13の結果から考えると急ブレーキがかかったといえるだろう。

数字は正直だ。平均ストロークは当然として、平均パット数、パーキープ率、パーオン率も軒並み2ケタ順位。悪コンディションと自身のショットの不調。それがよく表れている。しかし、そんな状況下でドナルドは、信じられない数字をたたき出していた。

フェアウェイキープ率。これが堂々の1位タイだったのだ。

この数字が何を意味するのかは、最初のドナルドの強みと絡み合ってくる。アイアンの強み。これを活かす為の絶対条件は何か?それはミドルホール以上ならばフェアウェイキープである。この前提が覆れば、自分の強さを発揮することはできない。ラフからベストなアイアンショットは打てないからだ。ドナルドは、このような状況下にあっても、正確にフェアウェイを守れるドライバーショットを持っていたのである。

そこで学ぶべきプロの業(わざ)。
自分の強みを知り、それを磨く。まずはこれが大切なことだ。そして、それと同等、いやそれ以上に自分の強みを活かす舞台を整えることを重視すべきだ。もしあなたが、ミドルパットが得意なゴルファーだとしよう。それにも関わらず4オンばかりするようでは、その強みを活かすことはできない。確実に2、3オンできる技術をも重視するべきなのだ。

自分の強みを磨く。その「壱の矢」を活かす為に、「弐の矢」の技術を磨く。自分のスタイルは、そのようにしてつくりあげていくべきなのである。
ルーク・ドナルドの安定性の根源。それは、アイアンの強みを活かす、ドライバーショットの技術の高さにあったのである。

★GOLF-MODEのルーク・ドナルド関連記事はこちら。

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プロの思考、プロの技。タイガー・ウッズ@サンフランシスコ 全米オープン

2012年07月30日 — 11:50am

高度化された戦略の結晶であるプロの業(わざ)。ケーススタディの手法を用いて、これをアマチュアゴルファーにも役立つ法則へと導いてみよう。その第2回目(1回目はこちら)。

今回は、6月にオリンピッククラブ・レイクコースで行われた全米オープンゴルフ3日目、タイガー・ウッズの放ったリカバリーショットを採り上げる。舞台は14番ミドル。緩やかな左ドックレッグで左側からせり出した林が特長的なホール。アイアンで右方向へ打ち出そうとしたタイガーだったがミスヒットし、ボールは左へ。ラフのファーストカットで止まったボールは、林によってグリーン方向が塞がれてしまった。グリーン右側のバンカーがかろうじて見える状態。グリーンまで約150~160Y。フックをかけなければグリーンには乗らない。ここでタイガーは、基本に忠実であるために意外なクラブを選択をする。その意図は何だったのだろうか。

まっすぐ打ったとしてもバンカー。絶対条件としてフックをかけなければならない。だからまずは、フックをかけることを重視しがち。低く打ったほうがリスクも少なく、コントロールもしやすい。だが、タイガーが重視したのは高さだった。選択したクラブはPW。高くそして、「あまりフックをかけずに」放たれたボールは、グリーン右奥へ引っかかり、傾斜を利用してピンそばまでボールは転がったのだった。

そこで見えてくるタイガー・ウッズのプロの業(わざ)。それは、リカバリーショットであったとしても、セオリーという基本を重視することだ。

ミドルホールの第2打は、高く打ち、スピンをかけてグリーン上でボールを止めるのがセオリー。タイガーは、そのセオリーを忠実に守り、そこから独自の技術でショットをアレンジしたのだ。リカバリーショットは、状況打開を重視するあまり、ショットの難易度を自分で上げてしまうことが多い。無理なショットを無理をして打ち、さらに悪い結果を招くという負のサイクルに陥りがちだ。タイガーのこのショットは、リカバリーショットにおける基本的に考え方を示している。それは「セオリーに沿ったリスクの少ない選択をすることの重要性」だ。ゴルフの基本的な思想はここにある。タイガー・ウッズほどのレベルに到達した選手であってもそれを軽んじるような行動を決してしないのである。

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プロの思考、プロの技。有村智恵プロ@福岡フンドーキンレディース

2012年07月09日 — 11:05am


苛烈なトーナメントの世界を生き抜いていくために身につけられたプロの業(わざ)。これは、高度化された戦略の結晶である。これをケーススタディの手法を用いて分析。そこから出る結論をアマチュアゴルファーにも役立つ法則へと導いてみよう。

今回は、有村智恵プロ(日本ヒューレットパッカード)のフンドーキンレディース初日。15番ホールから起こった3連続バンカーの場面を採り上げる。特に3ホール目の17番ミドルは、第2打が目玉になり、第3打目をバンカーから出せない苦しい展開。3ホール連続でのバンカーは、プロであっても精神的にきつい場面。有村は、この危機を最小限に食い止めるどんな工夫をしていたのだろうか。

謎を解く鍵は、大会前のコメントにある。「厳しいコース。小技といった技術力が試される」。そう宣言して臨んだ今大会。アップダウンのきつい丘陵コースで知られる福岡カンツリー倶楽部和白。打ち上げ、打ち下ろしの距離感をあわせにくいことを見越しての想定だった。うっすらと見えてくる自分の未来図。その「想定」とともに有村は、可能性としては「十分ありえる」と覚悟して、3ホール連続のバンカーショットと向き合っていたのだ。

さらにその想定から有村は対策を打っていた。それはドライバーの安全運転である。このコースでの主戦場はグリーンへのアプローチ。第1打を曲げては次の展望を開けない。ドライバーで無理をしない選択は、16番、17番、18番の第1打がフェアウェイを捕らえるという結果をもたらした。

精神的な備えは、十分な心の余裕を残していた。高い集中力で危機に対処していた有村は、17番の第4打目、2回目のバンカーショットは、ピンそば約30cmのファインショットを見せたのである。このホールをボギーで逃れ、この3ホール連続バンカーの危機をトータル+1で凌いだのである。

そこで見えてくる有村のプロの業(わざ)。それは、「自分に何が起こるのかを予測する力」であり、「その予測に対する備え」といえる。自分に起こることを正しく理解し、それに対して備える。それは、ゴルフのラウンドにおいて、アマチュアゴルファーにも求められる力でもあるはずである。(文中敬称略)

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