ゴルフのキソ!!~基礎基本を徹底~
第5回 上級者への学び(2)
Group Golf Clinic / Aberdeen Proving Ground
ゴルフの上級者には、教えを学んだ人を持っている人が少なくない。人から学ぶということは、いかに重要かということである。
前回は、誰に教えを請うべきか?その問いの答えは、あなたの周囲にいる上級者であるという内容をお話しさせていただいた(前回の内容はこちら)。
その学ぶべき上級者は、あなたとバックグラウンドが似ており、一緒に過ごすことのできる時間が長い人である事が望ましいとも述べた。今回は、上級者からの「学び方」に焦点を当ててみよう。
上級者からの学び方(2)
上達を目指すゴルファーであるあなた。仮に「ドライバーショットでのスライスに悩んでいる」としよう。教えを請う上級者を前にしてどのようなアドバイスのもらい方をするとよいのだろうか?
3つの候補を挙げてみよう。あなたが、「正しい」と思うやり方はどれだろうか?
A スライスで悩んでいることを相談し、アドバイスをもらう。
B 単刀直入にスライスの克服法を尋ねる。
C まずは、ドライバーショットを見てもらう。
結論から言えば、どれも正しいといえるだろう。まずは、アドバイスをお願いできる姿勢が大切だ。プライドが邪魔をして、教えを請う事ができないと、上達はどうしても遅くなってしまう。スライスに悩みがあるならば、AかBのような尋ね方で問題はない。
しかし、より良いやり方としてはCがいいだろう。
なぜか?それは、上級者とはどのような点が優れている人たちなのかということと関係があるからだ。
上級者は、全体の把握と観察力、そして問題の解決能力に長けている人なのだ。ドライバーショットを見てもらえれば、あなたが、スライスの問題を抱えていることを口にしなくても、すぐに把握してもらえるだろう。
このやり方がいいのは、スイングを丁寧に見てもらえれば、どこに問題点があり、何から解決していけばいいかのロードマップを示してもらいやすいからである。たしかに、スライスは問題だがもしそれ以上に優先的に解決すべき課題があれば、当然のことながらそちらのほうが大問題である。その克服に取り組むほうが良い。
自分が気がついていない問題を探してもらう。これは、上級者にお願いしてこそ成せる技なのである。
第4回 上級者への学び(1)
Group Golf Clinic / Aberdeen Proving Ground
誰から学ぶか。それは、上達のスピードを左右する重要な要素である。
ゴルフの上級者には、教えを学んだ人を持っている人が少なくない。人から学ぶということは、いかに重要かということである。だが、教えを学んだ人が誰であったのかはさまざまである。宮里藍プロや石川遼プロのそれは父親であったし、藤田寛之プロの場合の芹澤信雄プロのように師弟関係ということもあるだろう。アマチュアの場合、誰から教わるのが良いのだろうか?
まず思いつくのは、レッスンプロである。確かな知識に裏打ちされた高い指導力は魅力である。スイングの基礎を学んだり、つくり上げる段階ならばレッスンプロに学ぶのがよいだろう。しかし、ゴルフ全般という広い視点で見た場合、レッスンプロは、必ずしも最適者ではない。
なぜか?それは、ゴルフに関わる歴史が異なるからである。
レッスンプロの多くは、プロゴルファーを目指したり、ゴルフを生業とすることを目的にとして人生を歩んできた人達である。人生で最も時間と情熱を傾けてきたのがゴルフであり、ほぼ毎日何百球も練習で打ってきた経験を持つ人たちである。ゴルフを上達させてきたプロセスがアマチュアゴルファーと全く異なっている。
ゴルフを上達させる要素は、スイングだけではない。さまざまな要素がある。ラウンドでの実践的なスキルから、普段の練習の仕方まで多岐にわたる。さらに言えば、時間やお金の使い方も重要であるし、仕事がある人は、仕事とのバランスも必要である。
そのように考えると、基礎を学ぶゴルファーがもっとも教えを請うべき人は、誰なのか?
それは、身近にいる上手なゴルファーである。
出来る限り、自分と背景が似ている人が良い。サラリーマンと会社経営者では、時間とお金の使い方が全く異なるし、就いた(就いていた)仕事がジェネラリストかスペシャリストかでも考え方などが異なってくる。だから、自分と生活環境が良く似ている条件をもつ上級者から学ぶとよい。
特に、重要なのは、一緒に過ごすことが出来る人ということである。その人が教えることが上手である必要は全く無い。学ぶ側の姿勢が正しいものであれば、立派な「先生」となってくれることだろう。次回は、身近な上級者からの学び方をお話したい。
第3回 モチベーション
Winter golf / dan taylor
モチベーションを維持する。これも実力のひとつである。
冬。ゴルフがアウトドアスポーツである以上、決して避けて通ることのできない問題。それが、季節がもたらす問題である。この時期はどうしてもゴルフへの意識が薄れる時期である。ゴルフはあくまで趣味と考えるならばそれは、それで問題ないだろう。しかし、意識の薄れは上達するという意味ではリスクとなる。これまで練習してきたことの継続性が途切れるからだ。
継続性の途切れ。それは、体を動かさないことによって薄れる身体的な感覚だけを指すのではない。考え方、思考も揺らぐのである。
ゴルフの上達が途上であるとき、ゴルフによって得られる喜びは上級者のそれとは根本的に異なる。得られる喜びが質、量ともにまだ弱いのである。だから、ただゴルフに触れていられるだけで楽しかった時期を過ぎると、上達を実感できるまでの間にどうしても心に隙間が出来てしまう。そして、それが冬の季節と重なると一時的であるにせよ「ゴルフ離れ」を引き起こす危険があるのである。
モチベーションの維持。それは、ゴルフの上達に欠かせぬ条件なのである。
では、どうするか?
シンプルで誰にでもできる方法として、「クラブを握る」ことをすすめたい。
たったそれだけか?と思われるかもしれないが、効果は高いはずである。心と身体はつながっている。クラブを握ったときのグリップ感は、ゴルフをすることのドキドキ感、ワクワク感をよみがえらせるはずだ。クラブが難しければシャフトだけをリビングなどに置き、つねに手元にある状態にしてもいいだろう。グリップ感は、ゴルフの楽しさを知る最初のゲートだ。その感覚を維持することは、必然的にモチベーションの維持につながる。
そこから何が湧き上がるかは、その人次第だろう。素振りをするもよし、練習場にいくもよし。そこからの行動は、何らかの形で上達につながっているはずだ。それがベストの選択である必要は全く無い。ゴルフに触れる時間を継続する。そのことがベストの選択だといえるからだ。
ゴルフの上達したいという気持ちを持ち続ける工夫。それもゴルフの基礎であると私は思うのである。
ゴルフのキソ!! 第2回
nadav swing / digitalshay
理論は、それがつくられるプロセスを体感してはじめて意味を持つものである。
「ゴルフのスイングは下半身からつくる」。初心者を除くすべてのゴルファーの常識。しかし、それを実践できているゴルファーになると・・・その数は急激に怪しくなる。正しいことを「知っている(解っている)」のに「出来ない」のは、何故なのか。それは、
「下半身からスイングをつくることの重要性を体感できていない」からである。
ここで前回の内容を振り返ろう。素振りの効用である。スイング崩壊の危険性をもつ「ボールがうまく当たらないことへの恐怖」は、素振りを繰り返すことによって得られた「自分のスイングへの自信」によって克服するしかない。そんな内容である。地味な素振り。楽しくない素振り。そんな単調な作業だが、ここで今回のお話とつながってくる。
素振りをした後、どこが疲れているだろうか?
もし、腕が疲れているのであれば「下半身からスイングをつくることの重要性を体感できていない」といえるだろう。腕でスイングすればなんとなるという意識が残っているのである。そんな人は、そこからさらに振りこんでみるといい。
そうすると、腕だけではスイングが出来ないということに気がつくはずだ。さらに、下半身を使う方が力強いスイングが出来、安定性と再現性も高い。下半身からスイングをつくることがいかに合理的か解るだろう。
理論を身につける近道は、そのプロセスを体感してみることである。そうするとその理論の骨格をつかむことができる。素振りをして、腕が疲れるゴルファーは、「下半身でスイングをしなければいけない」と意識が生まれるまで振りこむことである。その意識の芽生えこそが、成長を促進させる秘薬なのである。
ゴルフのキソ!! 第1回
Father-in-law golf swing / danperry.com
恐怖は人間の行動に影響を与えるものである。
ゴルフビギナーにとって、最初に直面する恐怖は、クラブにボールが当たらないことだろう。たとえボールが当たるようになっても恐怖からは開放されない。「ヒッカケ」「ダフリ」「チョロ」・・・と悩みは尽きない。
ゴルフにとってこの恐怖がもたらす最大の問題点は、スイングの崩壊である。ボールが上手く当たらないことへの恐怖は、手打ちへ手打ちへと誘導し、正しいスイングを徐々に蝕んでいく。この恐怖を抱えている限り、ゴルフは決して上達しない。この恐怖の克服はとても重要な作業である。
さあどうするか?その解決方法は、地味ながらこれしかない。
「素振り」である。
恐怖からの開放は、その恐怖の克服でしか成し得ない。
恐怖の克服は、言い換えると「自信の獲得」である。素振りの最初の効果は、この自信の構築にあるといっていいだろう。ゴルフスイングの基礎を学んだらそれを実戦するためにどんどん素振りをする。素振りの最中に、前傾の維持や腰の回転、右足、左足の使い方・・・チェックポイントをひとつひとつ確認しながらスイングをつくっていく。ポイントを意識しならがスイングが出来ることも素振りのよさである。
ただ、素振りは楽しくない。でも楽しくラウンドする為には避けられない試練であると理解したい。振り込むにつれて自分のスイングに自信が生まれ始めたらしめたもの。「スイングだけなら、シングルですね」などといわれれば合格である。
もし、あなたが100を切ることを目指すゴルファーなら、しばらくボールを打つのを休み、じっくり振り込んでほしい。
ではどれくらい素振りをすればいいのか?それは次のお話である。